2004年4月29日(木)「しんぶん赤旗」
二十八日開かれた衆院内閣委員会で、北海道警の不正経理を追及している市川守弘弁護士が参考人として出席、警察の組織的な裏金づくりを裏づける新資料を公表し、真相の徹底解明と関連資料の迅速な情報公開を求めました。
市川氏は陳述の中で(1)取扱注意と書かれた「新任副署長・次長研修資料」(2)国費、道費、旅費のチェックリスト(3)道監査時における指導事項――などの道警の内部文書を公表。
「研修資料」は道警本部会計課が作成したもので、新任の副署長らに対する経理一般の手引き。この中で、「捜査員の中には、その経理に疑問を持つ者もあり、これらの職員がときとして内部告発となって表れることが考えられることを常に念頭におく必要がある」「合理的な思考と率直な平等観念の強い職員が多くなってきており、書類の作成、経費の使途について改善と努力を払わなければ将来の警察の団結と結束に重大な支障を生じる危険がある」などと列挙。「会計職員として不適格と認められるものは英断をもって排除する」などと記載しています。
チェックリストでは公用車使用の際の運転日誌と整合性、会議出席に伴う旅行と会議開催日との整合性など、実際の行動と書類のつき合わせをチェックポイントとして強調しています。
また市川氏は、道内の中規模の警察署では人件費を除く四千万円のうち、六百万円が裏金として使われていたことを示す資料も紹介しました。
市川氏は各党委員の質問にこたえ「裏金の手口は北海道も福岡などでも手口は共通している。道警本部の会計課長は警察庁からの出向人事だ」とのべ、裏金づくりは全国的に行われていると強調しました。
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日本共産党の穀田恵二衆院議員は、北海道、静岡、福岡などでだされた中間報告が、幹部の私的流用を認めないなど、内部調査の限界を指摘。また、神奈川県警による保存期間内の書類の廃棄、裏金疑惑への警察庁の関与などについて見解を求めました。
市川氏は第三者機関による調査は「必要な手段」とこたえるとともに、資料廃棄問題については道内でも“書類の突き合わせができなければ署長が責任をとれ”などの指示がでていることを紹介。廃棄問題もその延長ではないかと考えられると答えました。また警察庁の関与については、原田宏二元釧路方面本部長が警察庁に出向した際にも裏金づくりを体験したと証言していることに触れ、警察庁の関与も推認できると述べました。