日本共産党

2004年4月23日(金)「しんぶん赤旗」

日歯贈収賄 腐敗の構図

巨額資金で政官界工作

自民、公明、民主に献金攻勢


 診療報酬改定をめぐる日本歯科医師会(日歯)の贈収賄事件は、日歯の大掛かりな政官界工作のなかから生まれた根の深い事件で、今後、さらに発展する可能性があります。日本歯科医師連盟(日歯連)という政治団体をつくって、巨額の政治献金をし、要望を反映させる――。事件の根本にある腐敗の構図を振り返ってみました。


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森首相や自民党三役との懇談を大きく報じる日歯連の広報紙「日歯広報」

自公民の115人にカネをばらまく

 贈賄容疑で逮捕された日歯会長、臼田貞夫容疑者(73)らは、政治団体の日歯連で、全国の歯科医師から年間十八億円近くを集めてきました。

 医師会と一体の政治連盟に約五万人を“自動的に”加入させて資金を集める手法です。

 このなかから、〇〇年から〇二年の三年間に自民党の政治資金団体「国民政治協会」に十五億円を献金したのをはじめ、自民百七人、公明二人、民主六人の計百十五人(判明分)に総額約二十二億円ものカネをばらまきました。今回の事件の中医協委員へのわいろの原資にもなっています。

重要な問題で陳情を重ねる

 臼田容疑者が会長就任後、重視した問題の一つが今回の贈収賄事件にかかわる診療報酬改定でした。

 事件は、中央社会保険医療協議会(中医協)を舞台にしたもの。直接わいろを受け取って逮捕された容疑者のほかに、浮上してきたのが、自民党の医療基本問題調査会のなかに設置された「少子高齢社会歯科診療報酬等に関する小委員会」のメンバーです。この委員会が日歯側に立って動きました。日本共産党の山口富男議員は二十日の衆院厚生労働委員会で同小委員会を「政界ルート」と指摘しました。

 このメンバーには、小委員長を務めた丹羽雄哉元厚相の千七百三十万円など、おもな九議員に日歯連から一億二千三百万円もの献金が渡っています。

 このほか、臼田会長は自民党の青木幹雄参院幹事長や森喜朗元首相ら有力議員十六人を顧問にすえ、診療報酬改定や医療保険の患者側三割負担など、歯科医師にとって重要問題で、陳情を重ねてきました。

坂口厚労相と 公明党の関係は

 公明党の坂口力厚労相には、日歯連から百万円の資金提供がありました。愛知県歯科医師連盟の内部文書によると、昨年秋の総選挙で「今後歯科医療政策を十二分に理解していただくためにも」と推薦を決め、応援しています。

 日歯は、衆院選投票日前日の昨年十一月八日付の「公明新聞」に、推定百六十万円とみられる臼田会長と坂口大臣との対談広告を掲載、親密さを誇示しています。

 これは、日歯の名前で出したものの実際は日歯連が出したもの。日歯の広報担当者は、「こんな広告が出ていたことも知らなかった。一般新聞にもこんな広告は出していない」と本紙に語っています。

不明朗な資金流れの解明を

 日歯連が、自民党の吉田幸弘前衆院議員に献金した形を取って裏金五千万円をつくっていた疑いも明らかになっています。

 今回の事件の贈賄額は、いまのところ三百三十万円。臼田会長が政官界にばらまいたカネの何百分の一です。工作資金の全容解明が求められています。


 日歯贈収賄事件 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)を舞台にした診療報酬改定などをめぐるもの。二〇〇二年の診療報酬改定に際して、臼田容疑者ら贈賄側が、中医協の場で「有利な発言」をするよう中医協委員である健康保険組合連合会副会長(元社会保険庁長官)の下村健容疑者(73)と、連合副会長の加藤勝敏容疑者(59)の二人に依頼し、二人が「現金などのわいろを受け取った」とされています。

日歯連顧問や自民党小委員会メンバーへの献金
  《顧 問》       献金額(2000年〜02年)
 青木幹雄参院幹事長
 麻生太郎政調会長       100万円
 丹羽雄哉元厚相 ※1     1730万円
 伊吹文明元労相 ※2      530万円
 江藤隆美元運輸相
 亀井静香元政調会長    (亀井派に6510万円)
 高村正彦元外相      500万円(高村派に300万円)
 古賀誠元幹事長        1200万円
 関谷勝嗣元建設相
 野中広務元幹事長
 野呂田芳成元農相        50万円
 橋本龍太郎元首相     (橋本派に100万円)
 森喜朗元首相        10万円(森派に730万円)
 大島慶久元経産副大臣※3   1000万円
 中原爽元参院決算委員長    8297万円
 吉田幸弘元財務大臣政務官 1億1750万円
 《自民党小委員会》
 鴨下一郎厚生労働副大臣     20万円
 河村建夫文部科学副大臣     10万円
 木村義雄厚生労働副大臣    1900万円
 熊代昭彦政調副会長      350万円
 塩崎恭久衆院法務委理事    570万円
 自見庄三郎元郵政相      430万円
 鈴木俊一環境相        600万円
 長勢甚遠衆厚労委筆頭理事    50万円
 持永和見元社会保険庁長官   800万円
 井上裕元参院議長       4700万円
  注 ※1は小委員会委員長、※2は同メンバー、※3は同事務局長兼務。肩書は03年当時。小委員会の正式名称は「少子高齢社会歯科診療報酬等に関する小委員会」

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