2004年4月21日(水)「しんぶん赤旗」
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日本歯科医師会(日歯)の贈収賄事件の発端となった歯科診療報酬などを検討する小委員会が自民党内につくられ、日歯の政治団体・日本歯科医師連盟(日歯連)が小委員会の委員九人に三年間で一億二千三百万円を献金していたことが分かりました。二十日の衆院厚生労働委員会で日本共産党の山口富男議員が明らかにしました。
事件は中央社会保険医療協議会(中医協)を舞台としたものですが、これとは別に自民党議員を通じた「政界ルート」の存在が浮上しました。
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山口氏が明らかにしたのは、自民党医療基本問題調査会に設置された「少子高齢社会歯科診療報酬等に関する小委員会」。日歯の会報「日歯広報」では「平成12年度の歯科診療報酬改定をめぐる政治折衝の攻防の過程で構想が生まれた」と紹介しています。メンバーは丹羽雄哉元厚相、木村義雄元衆院厚生委員長など厚労関係議員が中心です。
二〇〇〇年一月二十七日の初会合には、厚生省の近藤純五郎保険局長(厚労省元事務次官)や辻哲夫審議官(厚労省現保険局長)などが参加。同年十月十九日の小委員会には、今回逮捕された五人の日歯関係者のうち三人が出席していました。
山口氏は診療報酬改定について、自民党側が「日歯の意見を十分に踏まえて対応する」ことを確約したと日歯広報が報じ、その際に積極的に発言したとされる木村氏などに日歯連から巨額の献金が渡っていることを指摘しました。(表)
山口氏は、日歯連の巨額献金と「政界ルート」による政治家の働きかけで診療報酬が不適切に設定され、厚労行政がゆがめられたとしたら重大だと追及。坂口力厚労相は「どんな団体であれ、政治献金と政策決定が完全に一致していれば問題だ」と答弁しました。
日本歯科医師会(日歯) 全国の歯科医師約六万四千人が加入する社団法人。歯科医が歯科医師会に入ると自動的に日歯の政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)にも加入することになり、会費を徴収されていました。全国で会員の思想・信条の自由を侵すとして訴訟が起き、二〇〇二年四月から規約を改正し、入退会を自由化しました。