2004年4月20日(火)「しんぶん赤旗」
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先ごろ厚生労働省から「二〇〇三年版働く女性の実情」が発表されました。今年は男女雇用機会均等法の制定(一九八五年)から二十年目。
均等法制定当時に千五百四十八万人だった女性雇用者は、〇三年に二千百七十七万人と大きく増え、雇用者全体にしめる女性の比率も36%から40・8%へと高まりました。〇三年度版は、均等法制定とその前後の四つの世代にわけて世代間の比較、分析を試みています。
九〇年代以降、新規学卒就職者のなかで短大や大学を出た人の割合は、女性のほうが男性より高くなりました。新入社員の意識では、役職につきたいと考える女性の割合が約三倍に増加。そして「子どもができてもずっと仕事を続けるほうがよい」とした女性も、均等法十年前の世代は13・3%でしたが、均等法十年後の世代では37・5%に増えています。
問題は職場の現実がこうした女性の意欲にこたえるものになっていないということです。
均等法十年前には、男女とも98%とほとんどが一般労働者(いわゆる正社員)として就職していました。しかしその後男女とも下がり、〇二年には女性は78・7%と二割も低下しました。そして若い世代ほどパート労働者として就職する割合が上昇し、とりわけ高卒女子では四割近くがパートでの就職です。(グラフ)
また、均等法で従来の男女別雇用管理が禁止されたために、財界が導入をすすめた全国転勤の有無などを基準にふりわけるコース別の雇用管理制度は、現在も五千人以上規模の企業の半数にあります。そのうち昇進昇格の道がひらかれている総合職の女性比率は、二〇〇〇年でわずか2・1%、事実上、多くの女性は排除されています。総合職の女性もその六割は、仕事の与え方などで男性との差を感じています。
こうした結果、管理職比率でも、均等法制定時7・2%から、二十年近くたっても9・9%にとどまり、一割に満たない現状です(表)。賃金格差も二十年間で8ポイント改善されたものの、正社員の比較でいまだに男性の66・8%(〇三年)です。
仕事と子育ての両立について、「結婚・出産による離職者は減少」と評価していますが、女性の年齢別労働力率が子育て期に大きく下がるM字カーブは依然として解消されていません。
「実情」は、均等法以降、「それ以前の二十年とはくらべようがないほど急ピッチで進んだ」といいます。しかしこの変化のテンポでは、男女平等の実現は二十一世紀のはるかかなたに追いやられてしまいます。
昨年八月、国連の女性差別撤廃委員会が日本政府にたいし、賃金格差や女性の不安定雇用増、仕事と子育ての両立をめぐる困難など差別是正の遅れを指摘し、改善をきびしく勧告しました。こうした指摘を真剣にうけとめた分析と施策が求められています。
(女性委員会事務局 米沢玲子)