2004年4月19日(月)「しんぶん赤旗」
那覇防衛施設局は十九日から、米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる最新鋭の海上基地建設にむけ、建設予定地の名護市辺野古沖でボーリング調査(事前作業)を始めます。これに対し、自然保護団体や地元住民らは「事実上の着工だ」「環境破壊は免れない」と強く反発、県民との矛盾はいっそう広がっています。
那覇防衛施設局が計画している調査は、天然記念物ジュゴンの大事なえさ場の海草・藻場がある地点を含む六十三カ所をボーリング(掘削)するほか、弾性波探査などにより地質調査と海象調査を行うものです。
県は七日、県民の意見に耳を傾けず同海域の使用に同意しましたが、県が意見聴取した専門家からも、「サンゴ礁は死滅することになるので、中止すべきである」「工事によって、辺野古周辺の暗騒音レベルが高まることは、ジュゴンの生活環境の悪化と判断すべきである」など、批判的な意見が相次いでいます。
十二日には、普天間基地の五年―七年の返還合意から八年がたちました。県民の粘り強い運動によって新基地の建設計画が大幅に遅れるなか、県内のマスコミも「県内移設は非現実的」「海外移転へ政策転換を」(琉球新報十三日付社説)と厳しく指摘しています。
さらに重大なことは、沖縄からイラクに派兵された海兵隊が、六百人以上のイラク人を殺害したイラク中部・ファルージャ掃討作戦の主力となっていることです。新しい海上基地が建設されれば、県民の意に反し、在沖米軍基地はさらに強化され、イラクなど他国への侵略や抑圧のための拠点となることは確実です。
「県民世論無視の工事着工は許せない」「沖縄をアメリカの無法な戦争の足場にするな」と、日本共産党沖縄県委員会は十九日午前七時から現地で、ボーリング調査強行に対する抗議・監視行動を行うほか、名護市のヘリ基地反対協・命を守る会なども行動を繰り広げ、新基地阻止のために全力をあげます。