2004年4月18日(日)「しんぶん赤旗」
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「三菱には一人の死でもあの子は私にとってすべてでした」――。二〇〇二年に横浜市で起きたタイヤ脱落・母子死傷事故で亡くなった岡本紫穂さんの母、増田陽子さん(54)が十七日、横浜市内で記者会見し、欠陥車によって娘を奪われた無念さを語りました。
増田さんは「(娘を)三菱に殺されたと思うか」と問われ「思います」と答えました。「たった一人の娘が突然殺された。悔しい」と声を詰まらせました。
三菱ふそうトラック・バス(東京・港区)製大型車の車輪と車軸をつなぐ部品「ハブ」の破損事故は、一九九二年以来、五十七件発生しています。
横浜の事故後、本紙追及で事故の「多発性」が明らかになりましたが同社は使用者側の「整備不良」を主張。先月までリコール(回収・無償修理)を拒否してきました。
増田さんは「三菱は事故が起こることや欠陥を何年も前から知っていた」「リコールしていれば娘は死なずにすんだ。許せない」と訴えました。
国に対しても「三菱の言い分をうのみにした責任がある」とし、辞任した同社の宇佐美隆会長についても「欠陥車をつくった当時の責任者だ。責任は一番大きい」と批判しました。
民事訴訟で三菱側に一億円の「制裁的損害賠償」を求めている青木勝治弁護士は「十数年間、三菱が欠陥を隠していたことで長期間消費者は危険にさらされていた。欧米では、欠陥商品への企業の責任のとり方として裁判で『懲罰的損害賠償』を認めている。全額を払うことが責任を果たすことだ」とのべました。