2004年4月16日(金)「しんぶん赤旗」
元社会保険庁長官、連合副会長…。東京地検特捜部が逮捕にふみきった日本歯科医師会(日歯)をめぐる贈収賄事件の発端は、日歯の政治団体である日本歯科医師連盟(日歯連)の不明朗な政治資金疑惑の捜査でした。
日歯連は、総務省に届け出た政治資金収支報告書(二〇〇二年分)によると、五万千六百九人の会員から約十七億七千二百万円もの会費を集め、自民党の政治資金団体である国民政治協会に四億六千三百万円の献金をするなど、自民党最大のスポンサーです。
贈賄側の中心人物、日歯・臼田貞夫会長(73)は、現在、自民党の参院議員を務める中原爽氏と二〇〇〇年四月の会長選で激しいつばぜりあいの末、会長に就任。「日歯の事業を進めるにあたり、政治力抜きで解決できない問題が山積している」と発言するなど、日歯連会長も兼ね、政官界とのパイプづくりを推進しました。
ワンマンぶりは、「会費を勝手に値上げしたり、規定も変えたりと、やりたい放題だった」という声も聞かれるほどで、従来にも増して献金攻勢を加速させました。この結果、〇〇年から〇二年までの三年間で、政界へ資金提供は、国民政治協会への十五億円をはじめ、自民百七人、公明二人、民主六人の計百十五人(判明分)に総額約二十二億円にのぼっています。政治家トップは、歯科医師出身の自民党・吉田幸弘前衆院議員の一億千七百五十万円で、厚労相や厚労副大臣経験者など厚生族議員が目立つほか、医療・健康保険行政を担当する公明党の坂口力厚生労働相も百万円。
しかし、日歯連では正規の出納簿のほかに、国会議員への献金状況を記録した裏帳簿を作成していたことが明らかになっています。
今回の贈賄容疑である診療報酬の改定をめぐって、臼田容疑者は毎年のように自民党の派閥領袖クラスの議員や厚生労働省幹部らと面会しており、資金提供の全容解明が求められています。
逮捕された7容疑者 【収賄側】(2人)▽下村健・元社会保険庁長官=川崎市=▽加藤勝敏・連合副会長、日本化学エネルギー産業労働組合連合会会長=神奈川県小田原市= 【贈賄側】(5人)▽臼田貞夫・日本歯科医師会(日歯)会長、日本歯科医師連盟(日歯連)会長=東京都三鷹市=▽内田裕丈・日歯常務理事、日歯連常任理事=大田区=▽梅田昭夫・前日歯専務理事=江東区=▽平井泰征・日歯常務理事=杉並区=▽誉田雄一郎・福島県歯科医師会会長=福島市= |