2004年4月11日(日)「しんぶん赤旗」
大阪府和泉市にある私立愛集幼稚園の教諭、中村華奈子さん(31)が園内で不当な差別を受けていた事件で九日夜、園側がクラス担任に戻したことで本人と同園の清水勝則理事長が和解し、協定書に調印しました。
小さい時から、幼稚園の先生になるのが夢だった中村さんは九九年に、「子どもたちにいい保育がしたい。そのために働きやすい職場を」と長時間労働や低賃金の是正を求めて八人で組合を結成。理事長らの脱退強要(組合つぶしの不当労働行為)で、七人が組合をやめ、組合員は中村さん一人になりました。
「一人でもがんばっていく」と決意した中村さんは、担任はずしや行事・研修からの排除など、想像を絶するいじめと差別に屈せず、「どう考えても、私が間違っているとは思えない」と仲間の支援を受けながら裁判にも訴えて、原職復帰と名誉回復を求めて四年半たたかい続けました。
裁判では、一審、控訴審とも完全勝利判決。園側は最高裁に上告しましたが、裁判を取り下げ、和解になりました。
一日から担任に戻った中村さんは「つらかったこともありましたが、応援してくれたみんなにほんとに感謝しています。胸を張って生きていけます。間違ってることに間違ってると言わないと、何も変わりません。がんばってよかった」と話しています。
中村さんは、組合結成のあと、明るくたたかう教諭の姿をえがくミュージカル「幼稚園」(二〇〇二年上演)のモデルにもなりました。同ミュージカルは五月八日に、堺市の栂(とが)文化会館で再演されます。