2004年4月5日(月)「しんぶん赤旗」
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インスタントコーヒーの「ネスカフェ」で知られるネスレが、労資慣行で認めていた一日三十分程度の有給のコーヒータイムのうち二十分間を四月一日から突然、無給扱いにしました。「“コーヒータイムは暮らしの一部、大切な時間”と宣伝していたのに」と職場で大騒ぎになっています。
世界最大の食品多国籍企業ネスレ(本社・スイス)の日本法人ネスレジャパン(本社・神戸市)は兵庫・姫路、静岡・島田、茨城・霞ケ浦の三カ所に工場があります。
各工場とも午前、午後に十五分ずつの「コーヒータイム」とよぶ休息時間がありました。勤務時間内の有給扱いで、労働者は順次生産ラインから離れ、食堂に置かれた無料のコーヒーを飲んだり、リフレッシュに利用しています。
会社は三月三十一日、各工場の作業班ごとに労働者を集めた朝礼(または終礼)で、「明日(四月一日)から、これまで一時間あった昼食休憩を四十分に短縮する。短縮した二十分については、勤務時間前半、後半に十分ずつの休憩を与える」と通告しました。
有給だったコーヒータイム三十分のうち、二十分が無給の休憩時間にされたのです。
ネッスル日本労働組合(笹木泰興委員長)によると、正社員の平均時間給は約二千二百四十円。二十分では七百五十円です。会社は労働者一人当たり月約一万六千円(月二十一日勤務の場合)、年間では約十九万二千円の賃金をかすめとることができます。三工場に約八百人いる労働者全体では、年一億五千三百六十万円にのぼる勘定です。
霞ケ浦工場では、「インスタントコーヒーメーカーなのに、コーヒータイムもサービスしないのか」「昼食休憩短縮で、食後のコーヒーは立ったままだ」との声が。
労働者の声をうけ、ネッスル労組は一日、「組合との協議もなしの一方的で大幅な労働条件の改悪。認められない」と会社に撤回を要求。神戸東労働基準監督署と兵庫労働局に対しても是正指導するよう求めました。