日本共産党

2004年4月3日(土)「しんぶん赤旗」

回転扉死亡事故

採用促した「四大臣告示」

緒方議員質問で 政府の責任明確に


写真
四大臣が連盟で2月26日に出した「大臣告示」

安全基準もなく

 東京都港区にある複合商業施設「六本木ヒルズ」で、六歳の男児が回転扉に挟まれて死亡した事故から一週間。国会での審議の中で、政府の重大な責任が浮き彫りになってきました。

 「政府が回転扉を規制するどころか採用を促してきた」―。日本共産党の緒方靖夫参院議員が一日の経済産業委員会で、経済産業相ら四大臣が連名(写真)で二月二十六日に出した「大臣告示」を明らかにしました。

 この文書は、昨年四月に施行の「エネルギーの使用の合理化に関する法」(省エネ法)に基づき、業務用ビルなどの所有者が提出する計画作成の「指針」を示したものです。そこには、省エネに役立つとしてモーターやボイラーなど百項目を超えるさまざまな設備を列挙。「建物の気密化」の項目では、気密サッシなどと合わせて、「回転ドア等を使用し気密化すること」と明記されていました。

 緒方氏が「安全基準がないことが以前から分かっていたにもかかわらず、省エネ政策の名のもとに採用を誘導してきた政府の責任は重大」とただしました。泉信也経産副大臣は「回転ドアというようなものも、一つの気密性を保つ意味から、かつてわれわれがそうした指導をしたことも事実」と認めざるを得ませんでした。しかし、緒方氏が「回転ドア」の部分を撤回するよう求めたのにたいし、泉氏は「取り消すことはない」と拒否しました。

責任逃れの答弁

 中川昭一経産相は「どっちに責任があるという問題ではない」と責任逃れの答弁に終始。中川氏は、別の議員の質問にも「一義的にメーカー、設置者に責任がある」とも答えていましたが、政府の責任は逃れようがありません。

 政府の回転扉の“すすめ”はこれにとどまりません。

 経産省・資源エネルギー庁では、回転扉を含む「高効率自動ドア」を「エネルギー有効利用促進対象設備」にあげて推奨。中小企業などが回転扉を設置するさい、中小企業金融公庫から特別利率の貸し付けまでおこなっています。

 こうした政府を上げての推進策のもとで、メーカー各社は競って回転扉の製造を進め、普及も本格化していったのです。

 回転扉業界のホームページには「このところ省エネの関係で病院や人の出入りの多いスーパーで採用されるケースが増えてきた」と回転扉の好調ぶりを強調しています。何の法的規制もないまま車いすやお年寄りの利用が多い病院などにまで設置が広がっています。

 建築基準法上の規制もなく安全基準もない。それを知りながらメーカーまかせにしてきた国がいくら企業側に「一義的責任がある」と再発防止を求めても実効あるものになりません。

 矢守一英記者


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