2004年4月3日(土)「しんぶん赤旗」
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首都圏を中心に写真現像チェーン「写真屋さん45」を展開する四五コーポレーションに解雇された埼玉県と群馬県の青年労働者八人が、解雇無効の確認と賃金支払いなど求めた仮処分申請で二日、さいたま地裁の山下芳晴裁判官は原告側の主張をほぼ全面的に認め、解雇された昨年十一月の翌月から判決決定までの賃金を毎月支払うよう命じる決定を出しました。原告の一人だけ退職願を提出しているとして認められませんでした。
最大の争点となったのが、四五コーポレーションが分社の事実上の経営者にあたるかどうかでした。同社は昨年一月、全国を十二地区に分社化しましたが、解雇強行後に分社先を合併させました。四五コーポレーション側の「解雇は分社によるもので本社は無関係」との主張に対し、山下裁判官は「ダミー会社として設立されたことが強く推認される」と認定、解雇は不当と指摘しました。
「写真屋さん45」青年労働者は、横行していたサービス残業や休日出勤問題に悩み、労働問題を手がけていた日本共産党の富樫練三参院議員のホームページを見て相談。埼労連や群馬県労会議の援助をえて、さいたま・前橋両地裁で十四人が解雇撤回をたたかっています。
原告の伊藤雅信さん(38)は「当然の結果ですが、うれしい。解雇の不当性、本社の責任が明確になり、これからたたかう本裁判へ大きな一歩となりました。会社はただちにこの決定を実行すべきです」と語りました。
原告代理人の吉村駿一弁護士の話 今回の仮処分決定は、分社化した上での解雇について会社の設立方法や運営にいたる具体的実態まで立ち入って、使用者に対し雇用の継続性、本社と分社の同一性を認め、分社はダミーであると認定した。整理解雇の要件を満たしていないことを糾弾し、期間限定なしの賃金仮払いを認めた優れた判断です。分社化による解雇はできないという先例となるものです。