2004年4月2日(金)「しんぶん赤旗」
国の補助金などで運営されている社団法人国民健康保険中央会が、厚生労働省の補助事業を異常な高値で発注し、受注企業から元自民党国会議員秘書や、厚労省職員に資金が流れていたことが本紙の調べでわかりました。関係者も「高い」と指摘するこの契約で、元国会議員秘書に「取り分」、厚労省職員には約四千八百万円もの出版物などの「監修料」が支払われており、不透明な実態が問題になっています。
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この事業は、国保中央会が、全額国の補助金を受けて実施した(1)「保健活動のための便利手帳」買い上げ事業(二〇〇三年度まで六年間)(2)「保健師のためのビデオシリーズ」制作事業(〇三年までの五年間)。随意契約で、会員制月刊誌『選択』を出版している「選択出版」(東京・港区)の関連会社「選択エージェンシー」(同)に発注しました。
全体の契約金額は同買い上げ事業で計三億三千万円、同制作事業で計二億五千万円の総額五億八千万円。
「選択エージェンシー」はこれらの事業で高い利益をあげていました。
「選択エージェンシー」関係者などによると、〇二年度の同買い上げ事業では買い上げ額四千八十万円(消費税抜き)にたいし外注費などの経費は二千五百万円前後。買い上げ額から経費を除いた利益は約千五百万円で利益率は四割近くあります。出版物の平均的な営業利益率は5%前後で関係者は「利益率が四割近いことなど普通ではありえない」と指摘しています。
またビデオ事業でも契約額の二分の一程度で外注しています。
これらの事業は元自民党国会議員秘書らが「選択エージェンシー」に発案。同社が国保中央会に企画を持ち込み、厚労省が補助金をつけました。
元国会議員秘書は本紙の取材に「手帳やビデオの事業を発案したのは私たちだ。長年の経験でどこにいけば、どのような仕事がとれるかのアドバイスはしたが、私たちが直接、働きかけるようなことはしていない」と説明しています。
「選択エージェンシー」は、元国会議員秘書らと「営業委託契約書」を結び、協力があったものについては利益の40%から25%程度の「取り分」を支払う仕組みとなっていました。同買い上げ事業や同制作事業の発案についても、利益の一定額を「取り分」として支払っていました。
同社はさらに所管する厚労省保険局国民健康保険課の職員十人に「監修料」として少なくても一九九八年度から二〇〇二年度までの毎年、売上額の一割程度、計約四千八百万円を支払っていました。
国保中央会は、高い保険料が問題となっている国保事業にかかわる四十七都道府県の国民健康保険連合会の上部団体。国から〇二年度で約三十九億円の補助金を受けています。会長には自民党の斎藤十朗元参院議長、副会長には同じく自民党の鈴木俊一元環境相、西川京子衆院議員らが就任しています。
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選択エージェンシーの尾尻和紀社長の話 利益が高すぎるといわれれば、その批判は甘んじて受けざるをえない。あとで内容が適正でないといわれると困るので役所の人に監修をお願いした。
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国保中央会の百軒孝俊事務局長の話 厚労省からの指導もあり、安く買えるよう努力した。