2004年3月31日(水)「しんぶん赤旗」
小泉「構造改革」路線の「目玉」と位置付けられている道路公団民営化法案の審議が三十日の衆院本会議で始まりました。石原伸晃国土交通相が趣旨説明をし、自民、民主両党だけ質疑に立ちました。
同法案は、日本道路公団を三つに分割し、首都高速、阪神高速、本州四国連絡橋の各公団とともに民営化し、株式会社にします。道路資産と四十兆円の借金は国の独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」に移します。新会社は機構から道路を借りて営業し、機構は新会社が払うリース料を借金返済に充てます。
九千三百四十二キロの高速道路整備計画は、未完成の二千キロ・七十区間のうち百四十三キロ・五区間を見直すだけで、ムダな高速道路建設を続ける仕組みは変わりません。
新会社が採算面などで建設しない場合、国と地方の税金を投入する「新直轄方式」で建設します。すでに七百キロ分の建設が決まっています。
新会社が借りる建設資金には「政府保証」を付けるため、焦げ付いたら税金で穴埋めします。道路は完成後、借金とあわせて機構に移すため、結局は国が借金を引き受けます。道路が赤字になろうが新会社は気にせず建設を続ける仕組みです。
四十兆円の借金は「四十五年」で返済するとしていますが、建設費を大幅に減らした上、今後も交通量が増え続けるなど根拠がない前提に立っており、返済できる保証はありません。
政治家とゼネコンや官僚との癒着、ファミリー企業が公団の仕事を独占している問題などにメスは何も入っていません。
日本共産党は、昨年十月の総選挙政策で、「民営化」のねらいが四十兆円もの借金を新会社から切り離し、国民に押し付けることにあると指摘。道路公団と自民党政治によってつくられた巨額の借金を国民に押し付けるための「民営化」に反対すると表明しました。
その上で(1)整備計画をきっぱり廃止し、新たな建設は凍結、抜本的に見直す(2)四公団あわせて二・五兆円の通行料金収入を借金返済に充て、料金の段階的引き下げ、将来の無料化に向かう(3)天下り禁止、ファミリー企業を廃止し、四公団を公共企業体として再生させる―ことを提案しました。
民主党が主張している高速道路料金の無料化については、「二兆円規模の税金を新たに投入しなければならず、税金の優先順位を間違ったもの」と指摘してきました。
昨年十二月に政府・与党が合意した民営化案には、「採算性も必要性も無視したムダな高速道路建設を推進するための新たな体制づくりであり、そのために巨額の国民負担・税金投入の仕掛けが持ちこまれる、およそ『改革』の名に値しない」(佐々木憲昭政策委員長代理=当時)と批判。
二十八日のNHK「日曜討論」で穀田恵二国対委員長は「借金を返す見込みもはっきりせず、新たな借金が増える可能性も出てきている。民営化すれば、政府の関与がなくなるので、ひどかった政官財の癒着が何も解決しない」と批判し、ムダな道路建設をやめるなど国民の願う改革を求めていくと表明しています。