日本共産党

2004年3月30日(火)「しんぶん赤旗」

ムダな道路建設どうなる

きょうから審議入り

道路公団民営化法案


 小泉「構造改革」路線の柱とされてきた道路公団民営化法案が三十日、衆院本会議で審議入りします。どんな中身なのでしょうか。

■公団はどうなる?

 A 日本道路公団は東日本、中日本、西日本の各高速道路株式会社に三分割。首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団は民営化し株式会社にします。

 公団の道路資産と四十兆円にものぼる借金は、国の独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」に移します。

 新会社は機構から道路を借りて営業し、機構は新会社が払うリース料を借金返済に充てます。新会社と機構に分けるねらいは、巨額の借金を国民に押し付け、採算性も必要性も無視した高速道路建設を続けるところにあります。

■決定済みの計画は?

 A 整備計画九千三百四十二キロは、未完成の二千キロ・七十区間のうち百四十三キロ・五区間の車線数などを見直すだけで、ムダな高速道路を含む全路線を建設する仕組みは変わりません。

 どの路線を建設するかは国と新会社が協議しますが、国交相の諮問機関である社会資本整備審議会が認めない限り、建設を拒むことはできません。かりに新会社が建設しない場合でも、国と地方の税金を投入する「新直轄方式」で建設します。すでに七百キロ分の建設が決まっています。

 新会社が銀行から借りる建設資金には「政府保証」を付けるため、焦げ付いたら税金で穴埋めします。しかも完成後、道路とその借金は機構に移すため、結局は国が借金を引き受ける仕組みです。

 政府・与党は民営化で「市場規律」が働き、ムダな道路建設に歯止めがかかるといいますが、これでは道路が赤字になろうが新会社は気にする必要もなくなります。

■借金返済は可能か?

 A 四十兆円もの借金は「四十五年」かけて返済し、完成後は通行料を無料にするといいます。

 しかし、建設費を大幅に減らしたうえ、今後も交通料が増えつづけ、低金利が続くという前提にたっており、いずれ破たんするのは明らかです。

 しかも、整備計画を見直しもせず建設を続けるため、借金が膨らんで返済のめどもたたなくなる危険性を抱えています。

 国鉄分割民営化で二十五兆円の借金は二十八兆円に膨れ上がり、大半が国民に付け回しされました。今回もその二の舞いになりかねません。

■政官業のゆ着は?

 A 政治家とゼネコンや官僚との癒着、ファミリー企業が公団の仕事を独占している問題などにメスは何も入っていません。道路公団の前総裁の“イニシャル発言”で浮上した政治家の介入疑惑もフタをしたままです。

 それどころか、道路建設や管理業務を独占する巨大な民間企業が生まれることで、新たな利権分野が広がりかねません。

 結局、機構が道路公団に代わる新しい特殊法人になり、新会社は建設・管理などを独占的に請け負う新たなファミリー企業になるのがオチです。


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