2004年3月30日(火)「しんぶん赤旗」
地震や台風などの自然災害で被害にあった住宅の再建に最大三百万円を支給する被災者生活再建支援法改正案(政府提出)が二十九日、参院災害対策特別委員会で全会一致で可決されました。
家財購入費などに最高百万円を支給する現行制度に加え、居住の確保に必要な経費を上乗せする「居住安定支援制度」を創設。全壊住宅の建て替えは二百万円、大規模半壊住宅の補修に百万円、賃貸住宅に入居する場合は五十万円をそれぞれ上限に、被災者生活再建支援金として助成します。
日本共産党は九五年二月に政府の責任による個人補償と住宅保障を柱にした復興対策を提案し、国会質問でも一貫してとりあげてきました。今回の改正は、被災住民の運動と結んだとりくみが実ったものです。
ただ、今回は建物の解体・撤去費用、ローンの利子などに限定され、住宅本体の建築費は除外。世帯全体収入や世帯主の年齢など要件が厳しい現行法の枠組みのままで、今後の課題です。
日本共産党は同特別委に(1)支給対象を建築費、購入費または補修費にし内容を限定しない(2)支給要件を前年収入合計額二千万円以下に広げ、支給金額を一世帯当たり五百万円まで引き上げる――などの修正案を出しましたが、他党の賛成がなく否決されました。
日本共産党の大沢たつみ議員は二十九日の参院災害対策特別委員会で、被災者生活再建支援法改正案について、住宅本体の建築費を対象に加えるよう求めました。
井上喜一防災担当相は「個人の住宅については線引きが必要。私有財産制の下では難しい」と答弁。大沢氏は「一般論ではなく、災害で住宅を失うという事情を考えるべきだ」と強調しました。
大沢氏はまた、阪神・淡路大震災で住宅を再建した世帯主を年収別にみると、「五百万円まで」の支援対象から外れる六百万―八百万円の層が最多の23%を占めていることをあげ、要件を外すべきだと求めました。
尾見博武・内閣府政策統括官は「今後一切の見直しがありえないとは申し上げない」と答えました。
三宅島被災者について大沢氏は、報道によれば住宅再建・修繕に平均で二百九十六万円かかり、「改正案でも救済しきれない。特別措置を講ずるのか」とただしました。井上担当相は「いろいろなことを検討して復興していかなければならない」と答えました。
大沢氏は「今まで住んでいたところに戻って生活したいという被災者の声にこたえるのが国の責任だ」とのべ、住宅再建を柱にすえた支援を行うよう強調しました。