日本共産党

2004年3月28日(日)「しんぶん赤旗」

国会の焦点

重要法案審議入りで緊迫


 〇四年度予算成立を受けて後半国会の焦点は、年金改悪、有事法制の具体化、道路四公団民営化といった重要法案の審議に移ります。

 「政府の年金改革関連法案を今国会でぜひ成立させたい」。小泉純一郎首相は二十六日の記者会見で重要法案成立に全力をあげる意向を表明しました。

 これにたいし日本共産党の市田忠義書記局長は相次ぐ重要法案に「国民の立場にたった正々堂々とした論戦をやっていきたい」と表明しました。

 参院選を控えて会期(六月十八日)延長が難しい審議日程のもとで、審議入りなどをめぐって週明けから緊迫したたたかいとなります。

 最大の対決法案である年金改悪法案について与党は四月一日に衆院本会議で趣旨説明と質疑をおこなうと提案。三十日の議院運営委員会理事会であらためて協議することになっています。

 共産、民主、社民の野党三党は二十四日の国対委員長会談で政府案について「国民の理解が得られるものではない」と成立阻止をめざすことで一致。厚生労働委員会で共同して徹底審議を求めていくことを確認しました。

 一方、小泉首相は二十六日の記者会見で「政府案が成立した後も、将来のことを考えて協議できる」とのべ、民主党との協議に意欲を示しました。

 民主党が同日、年金改革の対案を来月九日までにまとめ、衆院本会議で政府案と同時に趣旨説明を求める方針を決めたことを踏まえての発言です。

 道路公団民営化法案は三十日に衆院本会議で趣旨説明と質疑をおこないます。

 ムダな高速道路を含む整備計画の全路線を建設する仕組みを盛り込むなどはげ落ちた小泉「改革」路線が問われます。

 民主党は四月上旬をめどに高速道路無料化を柱とする対案を提出する予定です。

 有事関連法案について与党は四月六日の審議入りを主張しています。

 与党は、民主党が制定を求めている「緊急事態基本法案」に関する自民、民主、公明三党の協議もすすめながら、民主党も抱き込んで成立をはかろうとねらっています。

年金

 年金改悪では、「国民年金法等の一部改正法案」がおもな法案です。

 保険料を大幅に引き上げ、給付水準も大きく減らします。しかも、これを国会審議なしで自動的に改定する仕組みに変えるのが大きな特徴です。

 厚生年金の保険料(現行13・58%、労使で折半)は今年十月から毎年引き上げ。二〇一七年度以降は18・30%にします。本人負担では平均毎年一万円もの負担増です。

 いま月一万三千三百円の国民年金保険料も二百八十円ずつアップ。一七年度には月一万六千九百円にまで跳ね上がります。

 年金額の方はどうか。厚生年金「モデル世帯」(夫が四十年加入のサラリーマンで妻が専業主婦)の場合、いまの給付水準は現役時代の平均所得の59・3%。それを二〇二三年度以降は50・2%にまで引き下げます。共働き夫婦や単身者は、いまでも給付水準が四割台。改悪後は三割台に下げられてしまうのです。

 これでは、公明党などが宣伝する「百年安心の年金」とはとてもいえません。

有事

 米軍の干渉・介入戦争に自衛隊を参戦させ、自治体や民間企業・団体、国民を総動員するものです。

 今国会に提出されているのは七法案と三協定・条約。昨年六月に自民、民主、公明などの賛成で強行成立した「武力攻撃事態法」を具体化する内容です。

 米軍への弾薬を含む物品・役務、土地提供などを盛り込んだ米軍行動円滑化法案、空港・港湾などの軍事優先使用などを定めた特定公共施設等利用法案、国民を戦時統制する「国民保護」法案や海上輸送規制法案、自衛隊法改悪案、国際人道法違反処罰法案、捕虜取り扱い法案が提出されています。

 加えて、有事だけでなくイラクなどあらゆる事態での適用を可能にする日米物品役務相互提供協定(ACSA)改悪案、ジュネーブ条約追加議定書I承認案、同追加議定書II承認案が提出されています。

道路

 道路公団、首都高速、阪神高速、本州四国連絡橋の四公団を六分割して民営化。道路資産と四十兆円にのぼる借金を引き継ぐ独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」を設立します。

 高速道路整備計画九千三百四十二キロで未完成の二千キロのうち百四十三キロを見直すだけで、ムダな高速道路建設を続ける仕組みは変わりません。

 新会社は銀行などから借金して建設しますが、完成後に道路と借金は「機構」に移されるため、結局は国が借金を引き受けることになります。

 新会社が採算面などで建設しない場合、税金投入の「新直轄方式」で建設します。すでに七百キロ分建設が決まっています。

 四十兆円の借金は四十五年かけて返済する計画ですが、交通量の増加を前提とするなど根拠は希薄です。整備計画を見直しもせず建設を続けるため、借金が膨らんで返済のめどもたたなくなる危険性を抱えています。

 政治家とゼネコンや官僚との癒着、ファミリー企業問題にメスは何も入っていません。道路建設や管理業務を独占する民間企業が生まれることで新たな利権分野が広がる危険性も抱えています。


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