2004年3月26日(金)「しんぶん赤旗」
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猛毒の高濃度ダイオキシン汚染が問題となったゴミ処理施設「豊能郡美化センター」(大阪府能勢町)を管理する豊能郡環境施設組合が、大量のダイオキシン汚染廃棄物を、東京都品川区内の民間施設で処理する計画をすすめていることが二十五日、都議会予算特別委員会での日本共産党の曽根はじめ都議の質問で明らかになりました。
計画は、同センターで発生した廃棄物を詰めたドラム缶約千七百本(二百トン)をトラックと貨物列車でJR品川駅まで運び、民間事業者が運営する貨物駅構内の廃棄物処理施設で、二〇〇五年一月から十月までの十カ月間、焼却・溶融処理を行うというもの。
曽根氏によれば、計画をめぐって同組合から事前連絡を受けた高橋久二品川区長は〇三年十一月、「法的には可能であっても、区民の生命、健康を守る立場である品川区として住民感情を考慮すれば、受け入れは大変困難な状況」と回答していました。
ところが、同じ時期に同組合が都に行った事前連絡に対して、都側は「問題はないと考える」と回答。これにより、計画の具体化がすすんだといいます。
曽根都議は、環境省廃棄物対策課に問い合わせたところ、「高濃度なダイオキシン汚染物を大量に、しかも長距離輸送することはまったく前例のないケースで、輸送途中の二次汚染も心配される」という回答があったとして、「前代未聞のこんな計画を黙って見過ごすのか」と追及しました。 小池正臣環境局長は「処理業者が許可の範囲で適正に処理する限り問題はない」と答えました。
ダイオキシン類は、遺伝子異常やガン、皮膚炎などを引き起こす猛毒物質です。大阪府内に保管中のドラム缶約千七百本分もの高濃度ダイオキシン類汚染物質を何百キロという長距離を移送し、なぜ人口密集地の東京都内に運び込まなければならないのか――計画はあまりに異常なものです。
品川区の処理施設はJR品川貨物駅構内にあり、五千五百世帯一万四千人が居住する八潮団地に隣接しています。ここと同じメーカーが手がけた香川県直島町の産廃処理施設では、溶融炉の爆発事故が起きており、安全面でも危ぐはぬぐえません。
この計画の準備段階の〇三年十一月、同施設組合がまとめた報告書は「(汚染物質を)区域外で処理することについては、受け入れ先の地元自治体との調整が特に重要」とのべていました。地元・品川区が「受け入れは困難」と回答しているのに、「問題なし」として計画を後押しした都の責任は重大です。都は計画の撤回と再検討を求めるべきです。
東京総局・中村圭吾記者