2004年3月26日(金)「しんぶん赤旗」
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日本政府が米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる最新鋭の海上基地建設計画に固執し、着々と作業をすすめている事実が政府の内部資料で二十五日までに、相次いで明らかになりました。世界規模の米軍再編に伴い新基地建設を条件としない案が米側から打診されるなどの動きが伝えられているなかだけに注目されます。
その一つは基地建設予定地の沖縄県名護市辺野古に隣接する大浦湾を埋め立て、作業ヤード(仕事場)が造られようとしている問題で、防衛施設庁が設置範囲の図案を作成していたことが明らかになったことです。
沖縄大学の土田武信助教授が那覇防衛施設局への情報公開請求で入手した内部資料で分かりました。政府は昨年十二月、新基地建設について沖縄県などと協議する「代替施設協議会」の場で作業ヤードの設置を提案しましたが、具体的に範囲を示した図案は公表していませんでした。
今回、土田助教授が入手した内部資料「普天間飛行場代替施設の建設に係る事業の進捗(しんちょく)状況について(案)」では、作業ヤードを大浦湾に設置した場合、新基地本体を囲む護岸ブロックやケーソン(海に沈めるコンクリート製の巨大な箱)の製作など約三十一ヘクタールの陸上ヤードを大浦湾西側の範囲内に建設し、また製作したケーソンを一時的に海中に沈めておく約三ヘクタールの海上ヤードを同湾中央部に設置することを明記しています。
しかし、この作業ヤードの設置範囲には、平和、環境団体の調査で、豊かなサンゴ礁が群生していることが明らかになっています。すでに「新たな環境破壊だ」との抗議の声があがっており、政府は作業ヤードを大浦湾西側のほか、中城湾港、辺野古地先の三地域へ分散設置することを検討しているとも報じられています。しかし、大浦湾の埋め立て面積が若干、減少しても沖縄本島東海岸に残された数少ない貴重な自然を破壊することに変わりはありません。
最新鋭基地について、米側が二〇〇四年度中に「設計概要書」を日本側に提示する計画になっていることも分かりました。本紙の情報公開請求に対し防衛施設庁が、〇四年度予算案の概算要求で財務省に提出した内部資料を開示したことから、明らかになりました。
新基地建設をめぐっては現在、政府が計画するボーリング調査に地元住民らが強く反対し、沖縄県との協議も難航しています。
資料は、新基地建設について「平成16年度に米側からForm22(設計概要書)を受理する方向で、現在、スケジュール調整を行っている」と明記。「Form22」とは「(実際の)設計に先立ち、個々の施設(建物、工作物)に関する規模、構造、用途、付帯施設等の概要について、米側の所要を文書にまとめたもの」と説明しています。
さらに、新基地に建設する施設数について「少なくとも100棟分を超えるForm22が提出される見込み」だと指摘。「それを翻訳した上で、庁内で内容を検討し、米側と調整を行うこととなる」とし、翻訳経費五百万円を要求しています。
防衛施設庁は同経費が〇四年度予算案に盛り込まれていることを認め、設計概要書の受理後、一般的には施設配置の検討、実際の設計、工事に進むと説明。一方で、設計概要書が提示される具体的な期日は「米側との調整にかかわるため答えられない」としています。