2004年3月23日(火)「しんぶん赤旗」
全国労働組合総連合(全労連)が、「今後のたたかいに役立てよう」と組合員を対象におこなった「仕事と生活実態に関するアンケート」が、二十二日までにまとまりました。昨年十月に実施したもので、千八百五十一人から回答がありました。
調査では、史上最高益を計上する一方で、「ベア(ベースアップ)は論外、定昇制度の廃止・縮小、ベースダウンも」と攻撃を強める大企業・財界によって、労働者の仕事と労働実態が急激に変化しているようすが浮き彫りになっています。
とくに急激にすすんでいるのが、賃金制度の改悪です。この二、三年の間に賃金、人事考課の制度変更がなされたとの回答は、組合員の六割(61・7%)にものぼっています。
民間では、「成果・業績重視の傾向が強まった」(55・2%)、「定昇の見直し」(40・4%)などがすすんでいます。公務では、「諸手当の削減」(76・3%)がトップにあがっています(いずれも男性の回答)=図2。
こうした賃金制度変更や人事院のマイナス勧告の結果、前年と比べ、二〇〇二年の年収は「下がった人」が47・2%となっています=図1。
年収が下がった人の平均は三十万四千円のダウン。いまの賃金に四分の三の人が不満をもっています。「下がった人」では、やる気がでないことが「よくある」と答えた人が13・0%となっています。賃下げが、労働者の仕事のやりがいをそぐ要因ともなっています。
正規雇用が大幅に減らされ、労働者の間での競争が激化するなか、メンタルヘルスの必要な労働者が目立ちはじめていることも特徴です。
「過去一年間でおきた職場の変化」(複数回答)として、15・1%の人が「希望退職の募集」を経験しています。「正社員が減ってパートが増える」と回答した人は27・3%となっています。
民間の男性では、三人に一人(32・6%)が正社員が減ったとのべており、黒字企業ほど、この回答率が高いのが特徴です。
「成績管理がきびしくなった」(23・2%)が増えるなか、「『心の病』になった人がいる」(16・7%)、「人間関係が悪化した」(16・2%)と答えた人が少なくありません。公務職場の男性は、29・3%が「心の病」になった人がいると答えています。
「勤め先の将来に不安」を感じる組合員は51・9%にも達しています。この回答が民間より公務関連職場の方が多いことから、特殊法人化をすすめる小泉「構造改革」の攻撃がみてとれます。自分自身が「リストラされる不安がある」と答えた人は五人に一人近く(17・6%)にもなっています。
民間では、〇二年度決算で赤字だった企業の労働者が、勤め先の将来不安(59―73%)、リストラの不安(30―34%)を高い率で訴えています。
労働時間・残業時間と疲労については、「過労死要注意」の月四十五時間以上の残業をしている人が15・2%を占めています。うち35・7%は不払い残業(サービス残業)をしていると答えています。