2004年3月22日(月)「しんぶん赤旗」
ディーゼル車などからの自動車排ガスに含まれるSPM(浮遊性粒子物質)が、長期にわたって犬の肺を汚染していることが、島田章則・鳥取大学農学部教授(獣医病理学)らの研究で明らかになりました。同教授が、二十一日、東京都内で開かれた第十二回人権研究交流集会の大気汚染分科会で報告したもの。
犬を研究対象にしたのは、人間への影響を知るうえで、飼い主の人間と同様の成育環境にあり、実験用のマウスなどに比べて寿命も長いためといいます。
島田教授によると、大都市部にいた二十歳の犬の肺を解剖したところ、肺が正常に機能せず、膨らんだままになり酸素をとりこみづらくなる肺胞拡張が見られました。
また、肺組織を顕微鏡で観察したところSPMが黒い点状に付着していました。肺にはフィルターの役割があり異物を排除しようとしますが、超微小のSPMは肺まで入り込んでしまいます。付着したSPMは、短くても一年以上、体内にとどまり、加齢とともに蓄積していくことが分かりました。
島田教授は「鼻が車の排気口とほぼ同じ高さに位置し、排出直後の排ガスにさらされる犬と、ベビーカーに乗った赤ちゃんなど人間の子どもたちの環境は類似している。SPMによる体への影響はおとなより大きいと考えられます」と語りました。