日本共産党

2004年3月19日(金)「しんぶん赤旗」

主婦もフリーターも標的

政府税調 庶民への増税検討

大企業には負担増求めず


 政府税制調査会(首相の諮問機関・石弘光会長)が、将来の税制「改革」にむけて、有識者ヒアリングを開いています。ここでは、各委員から、国民への課税強化にむけた発言が飛び出しています。専業主婦もフリーターも狙われています。山田英明記者

 政府税調が将来の税制「改革」議論にむけて「大きな威力を発揮する」(石氏)ことが期待されると位置づけた基礎問題小委員会の有識者ヒアリング。家族、就労、価値観など、各テーマに基づいて研究者やジャーナリストの報告を聞き、経済・社会の構造変化の「実像」を把握することが目的だとしています。今後も「分配」や「少子・高齢化」「グローバル化」などをテーマにしたヒアリングが続く予定です。

現状無視した議論

 「家族」をテーマにしたヒアリング(二月十日)で、ある委員は「昔は働かないと食べていけなかったが、今は喜んで女性が働く、そういう環境ができているのではないか」と発言。報告した研究者から、「今でも(女性は)お金のために働いているんですよ。それはぜいたくとか楽しいから働いているのでしょうか」とたしなめられる場面もありました。

 石氏は「夫の収入がアップしない専業主婦はいない。専業主婦にも担税力がある気がしてきた」と発言しました。これも、夫がリストラや賃下げに直面しかねない不安が増大している現状を無視した発言です。

 「就労」に関するヒアリング(二月二十七日)では、フリーターの増加が焦点になりました。

 石氏は「(フリーターの増加という)就業構造の変化に、所得税が本当に対応しきれるのかなという問題が出てきている」と提起。記者会見では、フリーターが源泉徴収を「くぐり抜けてさまざまな形をやるのではないか」とのべました。

 夫婦共働きやフリーターの増加などの社会の構造変化にたいし、税調は、専業主婦やパート労働者、フリーターへの課税強化で応じる考えです。税金をもっととれる階層はないかと、探し回っている様子がうかがえます。

消費税と所得税で

 ヒアリングをうけ政府税調は、所得税増税の一環として、配偶者控除(年三十八万円)の廃止や、パート、フリーターなど非正規雇用の労働者にたいする課税強化策を課題とすることを決めています。

 二〇〇四年度税制「改正」では、公的年金等控除の廃止や老年者控除の廃止で、高齢者にたいする年金課税の強化を打ち出した政府。将来の税制「改革」として、政府税調で検討されているのは、幅広い国民によりいっそうの負担を強いる課税強化の方向でしかありません。

 一方、石会長は十六日の記者会見で「消費税というのは、(所得税に次ぐ)二番目の基幹税ですからね。もう、(税収で)法人税は抜きましたから」と発言。大企業に応分の負担を求める姿勢はみえません。法人税はもはや「基幹税」扱いせず、将来の消費税増税ばかり考えているようです。

 政府税調はすでに、消費税率を10%以上にする二ケタ化を打ち出しています。あわせて、所得税全体を見回して、課税強化をはかろうとしています。こうした方向を許せば、庶民にとっては、増税が幾重にも待ち受けていることになります。


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