2004年3月18日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党は十七日、国会内で、鳥インフルエンザ対策本部(本部長・市田忠義書記局長)の会合を開き、鳥インフルエンザの感染被害防止のための党独自の家畜伝染病予防法改正案を発表しました。
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現行法では、伝染病への感染やその疑いがある場合、獣医師には届出義務を課しているものの、家畜所有者に届出義務は基本的にはありません。
改正案は、家畜所有者に、獣医師に見せる、見せないにかかわらず、届出義務を課しています。さらに通報義務規定を新設し、伝染病にかかっている「可能性を示す異変」を発見した場合でも、家畜所有者に通報義務を課しています。
同予防法にもとづく鶏卵・鶏肉の移動制限で養鶏業者が被る経済的損失には、何の補償規定もありません。改正案は、取引価格の低下など家畜所有者が受けた損失の三分の二を国が補償する規定を盛り込んでいます。
会合であいさつした市田氏は、政府の緊急総合対策(十六日)について、住民の要求や運動とあいまった党の取り組みが反映したもので、「一定の前進がある」と指摘。そのうえで、法的規制をとらず被害を拡大させたBSE(牛海綿状脳症)の教訓を生かさず、行政指導ですませてきた政府の怠慢ぶりや、今後政府が出す改正案に損失補償措置がどのように盛り込まれるのか不明確であることなどをあげ、「たたかいはこれからだ」と強調しました。
日本共産党が十七日、発表した家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(要綱)は、次の通りです。
家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案要綱
第一 家畜の伝染性疾病についての届出義務の対象者の拡大
一 患畜等の届出義務
家畜が患畜又は疑似患畜となったことを発見したときは、当該家畜又はその死体について獣医師による診断又は検案を受けたか否かにかかわらず、当該家畜又はその死体の所有者は、都道府県知事に届け出なければならないものとすること。
二 届出伝染病及び新疾病についての届出義務
家畜が届出伝染病又は新疾病にかかり、又はかかっている疑いがあることを発見した場合において、当該家畜又はその死体について獣医師による診断又は検案を受けていないときは、当該家畜又はその死体の所有者は、都道府県知事に届け出なければならないものとすること。
第二 通報義務の新設
家畜が既に知られている家畜の伝染性疾病にかかっている可能性を示す異変を発見したときは、当該家畜又はその死体の所有者は、農林水産省令で定める場合を除き、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、当該家畜又はその死体の所在地を管轄する都道府県知事にその旨を通報しなければならないものとすること。
第三 損失の補償
国又は都道府県は、家畜伝染病予防法第三十二条の規定による禁止又は制限により損失を受けた者に対し、家畜又は物品の取引価額の低下、禁止又は制限に伴う費用の増加その他通常生ずべき損失を補償しなければならないこと。
第四 費用の負担
国は、都道府県知事が第三により損失を補償した場合に、補償金額の三分の二を負担すること。
第五 その他
(略)