2004年3月17日(水)「しんぶん赤旗」
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「花が咲くのは大企業だけで、国民には花が咲かない」――十六日の参院予算委集中審議で、大企業の雇用破壊を放置していて景気回復はないと追及した日本共産党の大門みきし参院議員。大企業を応援し国民生活をかえりみない小泉「構造改革」路線の実態が浮かび上がりました。
大門氏は家計が低迷を続けている理由として、国民負担の増大とともに「大企業のリストラや賃金引き下げで雇用、所得環境が改善していないことだ」と指摘。(1)企業が正社員を賃金の低い非正社員に置き換えている(2)残った正社員にも長時間労働を押し付け賃金を抑え込んでいる――ことをあげました。
大門議員 これでは企業収益がいくら上がっても所得や雇用環境の改善にむすびつかない。
竹中経済財政相 賃金は下げ止まり、リストラは一段落している。新しい局面に向かいつつある。
大門 人件費を抑える小泉内閣の責任で目詰まりをおこし、企業が収益をあげても波及しなくなっている。
大門氏は、「景気回復の芽が出た」と自慢する小泉首相にたいして、「いつになったら花が咲くのか」と問いました。
小泉首相 いずれ花が咲く。2%程度の経済成長を達成させていきたい。
大門 花が咲くのは大企業だけで、国民には花が咲かない。災いの種をまいただけだ。
この七年間で正社員は四百万人近く減少。一方で若者の「フリーター」は四百二十万人に急増しています。
大門氏は、「フリーター状態から抜けられない。今は親と一緒だが将来の不安がいっぱい」という二十八歳の女性の声や平均年収は正社員三百八十七万円に対し、フリーターは百五万円にしかならない賃金格差の実態を示し「こんなことを放置すれば社会に深刻な影響を及ぼす」と強調しました。
小泉首相 いい傾向ではないが、自分にあった仕事を見つけるとか学校教育のなかで勤労の重要性を理解してもらいたい。
大門 開いた口がふさがらない。青年を安く使い捨てにしている企業こそ非難されるべきだ。
大門氏は「使い捨て、消耗品」などの企業の身勝手な声を紹介、新規採用を減少させている大企業の責任を厳しく批判しました。
大門氏は、正社員(フルタイム)と非正社員(パートタイム)の賃金格差を国際的に比較したグラフ(下)を示しました。スウェーデンではパート賃金は正社員の87%など、欧州では賃金格差が少ないのに日本では49・7%。同じく雇用の「規制緩和」を進めてきたイギリスやアメリカでも50%台にとどまっています。
大門 なぜ日本とヨーロッパでこんなに格差があるのか。
坂口力厚労相 よくわからない。
大門 格差が少ないのは、英米ではひたすら規制緩和を進めてきたが、ヨーロッパでは規制してきたからだ。
派遣労働者の時給は九四年の平均で千七百四円だったのが〇一年に千四百四十四円に下がっています。労働者派遣法が改悪され今年三月から製造現場への派遣が解禁になったもとで、「業務請負」会社との間でダンピング受注競争が激化し、それが労働者の賃金引き下げを招いています。
大門 ダンピング競争は始まっている。パート、派遣、有期労働者を正社員との均等待遇に切り替えるべきだ。
坂口 企業だけ悪いといっても始まらない。全体の環境を整えることが必要だ。
坂口厚労相は、深刻な実態を見ずに、企業をかばいだてします。
大門氏は、EU(欧州連合)の雇用、社会政策担当委員のディアマン・トプル氏が「社会政策への支出は、経済への負担ではなく、経済成長と社会的団結との健全なバランスを確保する手段である」との観点から、パート労働や派遣労働の「均等待遇」をめざし努力していることを指摘。「日本も企業側ばかりを応援するのではなく、この国のあり方を考えて施策をとるべきだ」と強調しました。