2004年3月16日(火)「しんぶん赤旗」
銀行系調査研究機関のUFJ総合研究所はこのほど、調査リポート「フリーター人口の長期予測とその経済的影響の試算」を発表しました。それによると、いわゆるフリーターは、正社員より賃金などで不利益をこうむって消費を抑制された結果、国内総生産(GDP)を名目で約1・7%押し下げていることが分かりました。言い換えれば、フリーターが正社員として働くなら、それだけ経済成長にプラスとなります。
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同リポートは、フリーターがこうむる不利益を同年代の正社員と比較しています。
平均年収は正社員が三百八十七万円に対しフリーターは百六万円で、格差は三・七分の一。生涯賃金では四・二分の一、年金受給額は二・二分の一の格差です。
賃金格差は可処分所得の差となって消費格差を生んでいます。正社員の消費支出が年間二百八十二・九万円なのに対し、フリーターは百三・九万円と三分の一。納税額も、住民税、所得税、消費税を合わせて、フリーターは正社員の五分の一。当然、貯蓄も少なくなっています。
さらに、フリーターが正社員になれないことにより生じている「社会全体の経済的損失」を試算したところ、税収は一兆二千百億円、消費は八・八兆円、貯蓄は三・八兆円の損失でした。
この経済的損失がGDPにどう影響するか―。同リポートは「GDPに直接影響を及ぼすのは消費」だとし、試算からこう結論付けています。
「(正社員になれないフリーターが消費をあきらめたことで)名目GDPが潜在的に約1・7%下押しされていることになる」「フリーターが正社員として働けるなら、名目GDPが1・7%押し上げられる」
リポートは今後のフリーター人口も予測。二〇〇一年に21・2%(四百十七万人)だった若年労働力に占めるフリーターの割合(フリーター比率)は、少子化や企業業績が改善しても雇用にはつながりにくい状況を反映して上がり続け、一〇年には28・2%(四百七十六万人)、二〇年には30・6%(四百四十四万人)にまで高まるとしています。
フリーターとは 調査リポートは内閣府の定義を援用。「フリーター」は、学生と主婦を除く十五〜三十四歳の年齢層=若年労働力=のうち「パート・アルバイト(派遣等を含む)及び働く意志のある無職の人」としています。