2004年3月13日(土)「しんぶん赤旗」
小泉・自民公明政権のすすめる国の「三位一体改革」(交付税・国庫補助負担金の削減、税源移譲)で、いま全国の自治体が深刻な財政危機におちいっています。小樽市でも国からの交付税や補助金などが十二億四千百八十九万円も削減され、二〇〇四年度当初予算で十九億円もの財源不足が生じ「諸収入」に形式的に財源を計上せざるをえませんでした。この問題で同市の磯谷揚一財政部長から話を聞きました。北海道・小野真実記者
小樽市では〇三年度は約十二億円の財源不足でしたが、基金取り崩しや他会計からの借入金で財源手当てをしました。
このままでは〇五年度に財政再建団体に転落してしまうので、〇五年度までの三年間で四十億円の財源を生み出す「財政健全化計画」を作成することになっていました。
しかし、「計画」の前提となる国からの収入が崩れ、先延ばしになりました。
小樽市は〇四年度予算編成にあたり、「三位一体改革」で、これほどの落ち込みはないと考え、市税の落ち込みなどを想定し、人件費、事務事業の見直しなどで十六億七千万円の効果を生み出しました。
ところが「三位一体」によって、補助金の一般財源化で三億六千万円の削減なのに、税源移譲は二億五千万円、地方交付税は十一億三千万円(臨時財政対策債を含む)も減る見込みで、差し引き合計は十二億四千万円の落ち込みとなり、新たな「財政健全化計画」を練り直さざるを得なくなりました。新年度予算の財源不足は二十二億六千万円にも及んだため、取り崩す「基金」もなく、昨年に引き続く他会計からの借入金三億五千万円を加えても、十九億円の不足となりました。
この不足額を歳入の各項目に振り分けても、小樽市の真の財政実態が分からなくなるため、諸収入に形式計上し、市財政の窮状を形の上で示したものです。〇五年度も同じ傾向になるのなら大変なことだと思います。
「三位一体改革」で地方に税源を移譲すると言っても、地方には大変なことです。たとえ税源が移譲されても、不況・失業で個人市民税の納税義務者が千三百人程度、法人所得税で五十数社が落ちている中で税収はそんなに増えません。
予想外に生じた財源不足額をどうするのか。
事務事業の見直しは、市民生活に影響を与えるような痛みを伴います。入湯税の減免制度の見直しは、利用者の負担になりますが、事業者にとっては消費税増税と同じで経営に響くと言われています。人件費は独自に三カ年削減しますが、デフレスパイラルと同じで、職員の収入が減れば税収に跳ね返ります。
今考えている以上に市民に影響の出るような予算案を突然に提出するわけにはいきません。市としては、市民に財政計画を示していく責任がありますが、これでは計画の策定もできません。
地方も懸命の努力をしているので、税源の乏しい地方への配慮も忘れないでほしい。
国の方針を変えられるのかどうか分かりませんが、減らされた臨時財政対策債を元に戻し、むしろ強めに出してもらいたい。
臨時財政対策債 国は、交付税特別会計の借金が四十兆円にも上るようになったことから、特別会計の借金というやり方をやめ、大枠として、財源不足額の半分は国の一般会計から補充して地方交付税に上乗せし、残りの半分を地方自治体の借金で賄うことにしました。この自治体の借金が臨時財政対策債です。名目としては自治体の借金ですが、その返済はその年の地方交付税で措置することが定められています。発行可能額は自治体ごとに決められています。