日本共産党

2004年3月9日(火)「しんぶん赤旗」

「地下マンション」規制へ

住環境破壊 住民と共産党の運動実る


 地下七階、地上三階というような建築基準法の規制をかいくぐったマンション建設について、国土交通省は通常国会に建築基準法改正を提出し、規制に乗り出すことになりました。住環境破壊のマンション建設とたたかう住民や、国会や地方議会で建設規制を粘り強く要求してきた日本共産党が動かした成果です。

 ある日突然、閑静な低層住宅街に十階建てのマンションができる。主に傾斜地をはうように建てられるため土砂くずれなど災害の危険性もある。従前の低層住宅に住む人たちのプライバシーが侵されたり、狭い敷地に巨大なマンションが建設され人口が激増するため車両通行が増加し、交通安全や騒音問題など環境が悪化する――。

 「地下室マンション」とも呼ばれ、横浜、川崎両市などで住民とのトラブルが急増し、その解決が迫られていました。

 改正案は、現行では地下室を容積率に入れない(総床面積の三分の一を限度に)という「不算入措置」について、地方自治体の条例で「不算入」の地下室の範囲を制限できるようにし、「地下マンション」を規制しようとするものです。

解説

94年の建築基準法改正が根源

 「地下マンション」が建設できるようになったのは、一九九四年国会で成立した建築基準法「改正」に根ざしています。

 たとえば一千平方メートルの敷地で容積率100%の場合、改正前では総床面積一千平方メートルまでしか建築できなかったものが、一挙にその他の容積率緩和も合わせて一・八倍の千八百平方メートルまで建築できるようになりました。

 法「改正」時、日本共産党は「地下マンション」建設の危険性を予期して、次のような質問をしていました。

 中島武敏衆院議員(当時) 今度の改正で地下に二階とか三階とか、広大な地下面積をつくる、こういうことになるんじゃないかということを恐れるがどうか。

 三井康尋・建設省住宅局長(当時) 一般的に、日本人の行動様式として、完全に地下に世帯がお住まいになるというのは考えにくい。(九四年六月二十日、衆院建設委員会)

 ところが法「改正」されるや否や、横浜、川崎両市、東京都などの傾斜地にマンションが建設する事態が次々と起こったのです。

 横浜、川崎両市を中心に住民運動が起こり、「地下マンションを規制すべきだ」「低層住宅地としての景観が台無しになる」「わずかに残っている緑を壊すな」などの切実な声が国会や地方議会に寄せられました。

 それに応えて国会では、中島元衆院議員や瀬古由起子前衆院議員らが再三にわたって「地下容積率の不算入措置をやめるべきだ」「マンションは適用除外すべき」と追及し続けてきました。

 こうしたなか、横浜市議会は今年二月議会で「横浜市傾斜地における地下建築物の建築及び開発の制限等に関する条例」を議決し、六月から実施、川崎、横須賀両市でも条例制定に踏み出すなど、地方自治体も動き出しました。

 このような住民、市民の運動と日本共産党の国政、地方議会での地道な運動によって、とうとう国交省も建設規制に乗り出さざるを得なくなったものです。住民・市民の理にかなった要求は必ず法制度を変える力になることを示しています。(日本共産党国会議員団事務局・高瀬康正)


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