日本共産党

2004年3月9日(火)「しんぶん赤旗」

高齢者の高額医療費

120万件68億円払戻されず

参院決算委ではたの議員追及 “償還払いやめよ”


 高齢者医療窓口負担の限度額を超える分の払い戻し制度(別項)が導入された二〇〇二年十月から〇三年十月までに、払い戻されていない件数が百二十万件、総額にして六十八億円にのぼっていることが、八日の参院決算委員会で明らかになりました。日本共産党のはたの君枝議員が追及したものです。

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 はたの氏は、「六十八億円も払われていないということは、そもそもこの制度に問題があることの証明だ」と指摘。制度導入前に政府が「制度を知らない、手続き上の過重な負担によって支給が受けられないことがないように十分な対応をしてまいりたい」(坂口力厚生労働相、〇二年六月二十四日の参院本会議)などと答弁していたことをあげ、複雑な手続きを生む償還払い制度をやめ、患者負担を元に戻すよう求めました。小泉純一郎首相は「手続きの点においていろいろわかりやすい方法を今後よく検討していきたい」と答えました。

 さらに、はたの氏は、昨年四月から実施されたサラリーマンなど健康保険本人の窓口三割負担で、毎月の受診率(前年比)が低下している実態をパネルで示し、「『必要な医療は抑制されない』(小泉首相)どころか、必要な医療が抑制されている」と元の二割負担に戻すよう迫りました。

 坂口厚労相は、受診率低下を認めたうえで「医療全体をみると三割負担してもらわないと制度を続けることができない」と弁明。小泉首相は「いまでも国防費以上の税金が投入されている」などというだけで、必要な医療が抑制されている事実には答えられませんでした。

 はたの氏は、健保本人負担を二割に戻すには四百億円があれば可能で、厚労省所管の特殊法人が雇用保険財政で四百五十五億円かけて「スパウザ小田原」の建設など無駄遣いをしていることをあげ、「無駄遣いをなくせば国民の命と健康を守る財源は生まれる」と強調しました。


 高齢者の高額医療費払い戻し制度 〇二年十月、高齢者の医療費窓口負担が完全定率制になったのにともない設けられました。いったん窓口で医療費の一割(一定所得以上は二割)を払い、月額の自己負担限度額を超えた分については自治体に申請して、払い戻しを受ける仕組みになっています。各地で運動がおこり、簡単な手続きで限度額を超えた分は窓口で払う必要がなくなったり(新潟県)、償還払いの必要が出た場合に備えて事前に振込先を申請してもらう方式(名古屋)にするなど改善をかちとっています。


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