2004年3月3日(水)「しんぶん赤旗」
厚生労働省所管の特殊法人「年金福祉事業団」(いまの年金資金運用基金)が、国民の年金掛け金を湯水のように使って建設した大規模保養基地「グリーンピア」の一つ、高知県の「グリーンピア土佐横浪」が経営不振のため、三月末で運営停止となることがわかりました。運営停止となるのは、全国十三カ所中、七番目で、グリーンピア全体ですでに約三千八百億円もの損失が見込まれています。
「グリーンピア土佐横浪」は、土佐市竜地区と、須崎市光松地区の二カ所、計約三百四十ヘクタールに百三十五億円かけてホテルやスポーツ施設、結婚式場、レストラン、トロン温泉などを建設、一九八七年十月に開業しました。
ところが、宿泊施設のある光松地区と、遊園施設や庭園のある竜地区とは車で三十分近くかかるなど立地条件も悪く、宿泊者数は九二年度の二万二千五百五十九人をピークに減少、九九年一月末には竜地区を閉鎖。二〇〇〇年八月には、建設費二十七億円かけた竜地区を四億八千二百万円で学校法人に売却しました。〇二年度末の負債総額は十一億三千二百万円となっています。
政府は、「グリーンピア」を二〇〇五年までにすべて廃止・売却する方針。ところが、地方自治体などとの売却交渉は難航、現在、売却が決まったのは二カ所のみ。しかも、宮城県の岩沼基地の場合、建設費七十七億円にたいし、譲渡価格は三億六百八十五万円、福島県の二本松基地は八十億円にたいし、三億千百五十五万円。いずれも4%以下です。光松地区も須崎市に提示されている譲渡価格は、一億円です。
自民党と公明党は国民の批判をかわそうとグリーンピアはじめ全国の年金福祉施設の整理方針を決めましたが、国民の貴重な年金をムダ遣いした責任が問われています。