2004年3月3日(水)「しんぶん赤旗」
二日、閣議決定された「民事訴訟費用法改正案」に盛り込まれた「合意による弁護士報酬の敗訴者負担制度」には大きな問題点があります。
同制度は、民事裁判で、当事者(原告と被告)双方に弁護士等の代理人がついている場合、双方が「敗訴者負担にする」と申し立てれば、敗訴した側が勝訴した側の弁護士費用の一部を負担しなければならないというものです。
「合意」という形であれ「敗訴者負担」を導入すると、敗訴したらさらに負担が増えるとの危ぐから提訴をあきらめ、現行制度よりも国民が裁判を起こす機会を奪うことにつながります。
さらにこの制度が導入されると一般的な当事者間の契約(たとえば売買契約、労働契約、下請け契約)であっても、「この契約に関し、将来、裁判となった場合、敗訴した側は勝訴した側に対し、勝訴側の弁護士報酬を負担する」などという条項が盛り込まれる恐れがあります。相手に対して不利な立場であることが多い消費者や労働者、中小零細業者は、結局、契約条項を恐れて提訴することも裁判を受けてたつこともできなくなり、泣き寝入りを強いられる危険があります。
また、現在実施されている交通事故や医療過誤、公害など損害賠償請求訴訟で、被告側の弁護士費用の一部を損害として認めて、加害者に負担させていることへの影響も心配されます。専門家からは、従来、損害として認められていた弁護士費用が認められなくなったり、金額が切り下げられる恐れが指摘され、損害賠償請求訴訟をおこしにくくなるなどの問題点もあります。川田 博子記者