2004年3月3日(水)「しんぶん赤旗」
民主党の佐藤観樹衆院議員の疑惑は、勤務実態のない元公設秘書の女性が「名義貸し」を行い、秘書給与を事務所側が流用したのではないかというもの。二月に詐欺で有罪が確定した社民党の辻元清美元衆院議員と同様のケースです。
佐藤氏は一九九三年、細川内閣に社会党から自治相として入閣。「政治改革」と称する小選挙区並立制や政党助成制度導入に大きな役割を果たしました。
当時、佐藤氏は「腐敗防止やあるいは政治資金の規制、こういったことと一体となって日本人自身がみずからの政治として成長させていかなければならぬ制度」(九四年一月十九日)と答弁。“金権腐敗防止”を口実に小選挙区制を強行したのです。
そういう過去の経緯や政治資金の所管大臣をした経歴からも、政治倫理には特に襟を正すべき立場です。秘書の勤務実態や給与の流用が事実かどうか、みずから国民の前に明らかにすべきです。
一方で民主党の岡田克也幹事長は同日、佐藤氏と会って事実関係をただしました。近日中に開く佐藤氏の記者会見を受けて改めて事情を聴き、対応するとしています。
民主党ではこの間、衆院議員三人の運動員が公選法違反で起訴された事件や、学歴詐称で除籍された古賀潤一郎衆院議員の問題など不祥事が相次いでいます。昨年末には「征伐隊」を名乗り銃弾を撃ち込むなどのテロ行為を働いたとして「刀剣友の会」会長が逮捕された事件で、西村真悟衆院議員が同団体の最高顧問を務めていたことも明らかになっています。
しかし、民主党は古賀氏を除籍処分にしたものの、議員辞職は勧告していません。西村氏の問題でも本人の弁明を聞くにとどまっています。
野党第一党として、有権者の政治不信をさらに招きかねない今回の秘書給与疑惑についても、党として徹底した調査を行い、真相を解明することが求められます。
古荘智子記者