2004年2月25日(水)「しんぶん赤旗」
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八兆円もの公的資金を投入した新生銀行(旧日本長期信用銀行)の政府保有株が“株価頭打ち条項”で安く売却され、投入した血税が回収できなくなる――。日本共産党の塩川鉄也議員は二十四日の衆院予算委員会で、米投資組合リップルウッドのグループと国が結んだ契約書の内容を示し、政府の責任をただしました。
国(預金保険機構)が保有する新生銀株(優先株)は、一九九八年三月と二〇〇〇年四月の公的資金投入で手にしたものです。
ところが、国とリップルが結んだ二〇〇〇年の契約書は、国の保有株の時価総額が五千億円を超えた場合、リップルから要請があれば手放さなければならないと定めています。
塩川氏は「国民の財産である株式を、なぜ上限を設けてとどめなければならないのか。株価の“頭打ち条項”だ」と指摘。上限を設定したのは(1)国が持たせてやった長銀保有株の含み益二千五百億円の“持参金”(2)資本注入した二千四百億円(3)“手数料”の百億円―の計五千億円を回収できればよいと考えたからだと述べ、国民負担を膨れ上がらせることは許されないと強調しました。
「契約は契約だ」と逃げる竹中平蔵金融相に対し、塩川氏は「政府は国民負担を少しでも減らすという立場に立つべきだ」と主張。契約書が不合理な理由がない限り株放出を拒否できないとしていることを取り上げ、「国民負担最小の原則」に立つなら、拒否できる合理的な理由があると述べました。竹中金融相は「国民負担を最小化するよう最大限の努力をしたい」と答弁しました。
塩川氏は「こんな仕掛けをつくった政府の責任は重大だ。不透明な売買契約の過程を明らかにせよ」と迫りました。
旧長銀売却に際して結ばれた契約書の規定 「預保(国)が保有している長銀株式の時価総額が五千億円を超えている場合、ニュー・LTCB・パートナーズ(リップル)は預保に対し、株式のうちの一定の数量を公正な価格により売却するよう要請することができる。預保はかかる要請に対する同意を不合理に差し控えない」