2004年2月24日(火)「しんぶん赤旗」
「政官業の癒着をたださずに何が改革か」――二十三日の衆院予算委員会で道路公団の政官業癒着を追及した日本共産党の穀田恵二国対委員長。「改革」の掛け声の裏で温存されている利権の構図が浮かび上がりました。
高速道路の整備計画九千三百四十二キロのうち、残りは約二千キロ、事業費は一三・五兆円です。このうち建設が決まった七十区間を調べると、驚くべき実態が浮上しました。平均の落札率が98・18%で、予定価格と実際の契約金額がほとんど一致していたのです。
一九九八―二〇〇二年度の五年間に契約された工事(十億円以上)三百六十一件のうち、落札率の最高は99・95%で、99%台は二十五件、98%が最多の二百二十七件、97%が七十五件。94%以下はわずか四件で、ほとんどが95%以上です。
百億円を超える工事で、予定価格と契約金額の違いはたった八千五百万円のものもありました。「まさに神業」(穀田氏)です。企業から見れば、利益がより多くなる高値で工事を受注できたことを意味します。
穀田氏は、自民党の青木幹雄参院幹事長の介入疑惑が報道されている島根県の仏経山トンネル西工事などが含まれていることをあげ、「95%を超える落札率は談合なしにできないというのが業界の一般的な見解だ。大臣の姿勢が問われる」とのべました。
石原伸晃国交相は「落札価格が近いから談合だと直ちにいうのは難しい」と異常さを見ようとしません。
異常な落札率の背景には、受注企業にたいする公団幹部の天下りがあります。
穀田氏が明らかにした資料によれば、公団幹部OBが天下りしている企業は実に百七十七社、二百九十八人に上ります。OBがいないJV(共同事業体)が落札したケースは一カ所だけです。
天下りは、営業部長など工事にかかわる要職で、“仕事付き、持参金付き”のOBを受け入れた企業が工事を受注する構図が鮮明です。
しかも、公務員は二年間直接関係する部署への天下りが禁止されていますが、特殊法人である公団職員には、こうした規制は適用されません。
工事を発注する側の公団から、受注する企業側に天下りする――。この不正常な状態について穀田氏は、天下りを禁止すべきだとした過去の政府答弁も引き、「ファミリー企業だけでなく受注企業への天下りについても厳しく対処すべきだ」とただしました。
石原氏は「あってはならない」としながらも、「民間対民間のケースであり個々についてはいえない」と答弁しました。
穀田氏は「発注者の姿勢を正せばできることだ」と批判しました。
政官財のトライアングルの一角を占める政治家との癒着――それを示すのが受注企業から自民党への献金です。
穀田氏が示した資料によると、この五年間で自民党の政治資金団体である国民政治協会に献金した受注企業は百三十九社、約二十八億円にものぼります。受注契約金額が多いほど献金額が増えています。
公共事業をめぐる献金については二〇〇〇年四月、国交省が受注企業を含む建設業者団体に対し、関係法令の順守と「国民の疑惑を招くことのないよう」注意を喚起する異例の通達を出しています。
穀田氏が「自民党が税金である公共事業を食い物にして、税金が企業から還流する献金のやり方をやめるべきだ」と追及。石原氏は「献金をとるために工事をしているのではない。必要な道路をつくっている」と答えました。
穀田氏は「トライアングルを打破しない限り、国民の期待にこたえることはできない。癒着と利権に徹底的にメスを入れるべきだ」とのべました。