2004年2月22日(日)「しんぶん赤旗」
政府が国内総生産(GDP)急成長と発表しても、長くつづく消費不況の出口が一向に見えない状況があり、大企業をはじめリストラがすすんでいます。そういうなかで、地方自治体ではさまざまな失業・雇用対策がおこなわれています。日本共産党議員も取り上げて実行している雇用・失業対策を、鳥取県と、秋田県雄和町にみました。
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鳥取県は二〇〇二年度から、従来の雇用創出事業に県内の高校生などを採用した企業への独自の助成制度を設けています。
助成は、中小企業など雇用創出支援奨励金と新規・成長分野雇用創出奨励金の二つがあり、中学・高校の新規卒業生や十五歳以上四十五歳未満の事業主都合による離職者などを雇い入れた事業主に対し、一人につき三十万円、七十万円を助成しているものです。研修に支払う場合もあります。
〇二年度の実施状況は中小企業等雇用創出支援事業で一人三十万円が五百七十三人(三百六十件)。新規・成長分野雇用創出事業で一人七十万円が百三十二人(三十九件)に交付されています。
〇三年は両事業あわせ九百七十六人で四百三十三の企業が利用したことになります(〇四年一月十五日現在)。
この事業の実施にあたっては、当時の日本共産党県議団が四回にわたって、ねばり強く雇用問題について要求してきました。
この制度を活用し高卒社員を採用した株式会社中電工鳥取支店の田川光郎人事担当課長は、「二年で八人を採用し、この制度を申請しました。先の見えない不況のなかで、人を増やす計画を立てるうえで地元企業にとってもきっかけになります。若い人が地元で就職できる条件が広がればいいですね」と話しています。
行政による雇用創出にも力を入れており、〇二年度で小学校二年生までの三十人学級、図書館司書、低年齢児・重度障害児受け入れ保育所の保育士など教育・福祉、中小企業振興対策の充実などで、合計で三百二十二人(〇二年)の実績を上げています。
また、昨年七月からは、鳥取県版「雇用のためのニューディール政策」として〇三年から〇六年までに一万人の雇用創出計画を掲げています。
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計画では(1)民間による雇用の創出に対し県独自の施策として大胆に支援する(2)現下の厳しい財政状況下にあっても、教育・福祉分野を中心に施策を充実することにより、行政でも直接雇用を創出することが必要―としています。これに必要な財源は、県関係機関の一万二千人を超えるすべての職員の給与5%削減による年間約四十億円、三年間で約百二十億円をあてることにしています。
教員が増えたことで、三十人学級実現の運動をしてきた古田淑子さん(32)は「うちの子どもが小学校に入学した一昨年から少人数学級になり、先生の目が子どもに行き届くようになりました」と喜んでいます。
昨年十月末、日本共産党の市谷とも子参院鳥取選挙区候補と、山崎良子日本民主青年同盟県委員長らは、青年の雇用問題で片山善博知事と懇談しました。
席上、片山知事は「若い人が希望が持てなかったり、暗い将来しか思い描けなかったら、その国はあまりいい国ではないと思うんです。いま、深刻なのは中高年のリストラされた人と若い人なんです。そこに焦点をあて、就職しやすい環境を整えていくことが必要です」とのべました。
(鳥取県・中村宏記者)
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秋田県の空の玄関口・秋田空港のある雄和町は、秋田市の南隣にあり、人口八千人の町です。基幹産業は農業ですが、兼業農家が九割を占めています。
全国的な不況は秋田県も例外ではありません。二〇〇一年末には雄和町に支店がある秋田電子の従業員二千人のうち半数解雇がおこりました。
秋田電子は町が誘致した企業で、町内で最大規模です。この解雇は、同年夏ごろには発表されて、関係家族のあいだで不安が広がり、町内でも大きな問題になりました。
その最中の二〇〇一年九月、町議選があり、日本共産党は、深刻な不況を打開するため、町庁舎内に雇用相談窓口を設置するなど雇用対策の強化を公約に掲げました。二人の党の町議で検討してのことで、選挙前の町議会でも、雇用・失業対策をとるよう求めて質問しました。
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この公約はすぐに実現しました。町は選挙直後、相談窓口を設置し、さらに十一月議会では、予算がともなう失業者の家庭を支援するための緊急雇用対策特別臨時奨学金制度を提案し、スタートしました。
奨学金制度の応募資格は、町内の小中学校に在学する児童・生徒や高校、大学などに在学する学生で、保護者が失業し、失業給付を受けていない人や自営業者など、経済的理由により就学が困難な状態にある人です。
小中学生の奨学金は、学校給食費相当分を給付し、高校生には県立高校の授業料相当分支給に加えて、月額一万円の修学費を貸与します。大学生には月額二万五千円の奨学金貸与に加え、月額二万五千円の修学費を貸与します。
返還方法は、貸与終了後一年間の据え置きがあり、貸与期間の二倍の期間で償還します。すべて無利子です。また、町内に就業した場合には、貸与金額の二分の一が免除されます。
問題はPR不足のせいか、利用者がほとんどいません。町は、既存の奨学金制度からの借り換えを検討しており、私たちも多くの町民に、この制度があることをもっと知らせていこうと考えています。
(佐藤純子町議)