2004年2月21日(土)「しんぶん赤旗」
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商工ローン大手「SFCG」(旧商工ファンド)の融資で、利息制限法(年15―20%)を超える高金利をとる根拠とされている「みなし弁済」(注)の有効性を争った過払い金返還請求訴訟で、最高裁第二小法廷は二十日、「みなし弁済」の適用要件は「厳格に解釈すべきだ」と高金利商法を認めない判断を示し、債務者側勝訴の判決を言い渡しました。同社の主張を一部認めた二件の二審判決は破棄、高裁に差し戻しました。
日栄・商工ファンド対策全国弁護団は、利息制限法を上回る金利に厳しい枠をはめる画期的な判決で、「出資法上限金利(年29・2%)の引き下げの足がかりになる」と高く評価しました。この結果、サラ金もふくめてほとんどの貸金業者の現在の契約方法では、「みなし弁済」の適用が認められなくなり、SFCGと債務者・保証人が争っている約五百件の裁判も解決できると弁護団はみています。
判決は、(1)みなし弁済適用の要件である契約書の交付について、貸付金額や返済方法、利息など必要な記載事項がひとつでも欠けている場合(2)貸し付け時に利息が天引きされた場合(3)弁済の受領書を直ちに交付しない場合――は「みなし弁済」は適用されないとの新しい判断を示しました。
そのうえで、同社は契約書面に担保内容の記載がなく、受領書も二十日後に送るなどしており、「有効な利息の弁済とみなすことはできない」と断じました。原告らはSFCGに40%近い金利を支払っていました。
裁判長は補足意見で、超過利息の支払いを事実上強いる契約条項を結ばせている場合は「自由な意思での支払い」といえず、超過利息は有効と認められないとの判断を示しました。
利息制限法では、利息の上限を超える部分は無効となりますが、その例外を規定したのが貸金業規制法四三条の「みなし弁済」。債務者が「自分の意思」で超過利息を払い、貸金業者が所定の事項を記載した契約書、受領書を交付している―との要件を満たせば、貸金業者が超過利息を取っても有効とされます。
日本共産党・佐々木憲昭衆院議員の話 旧商工ファンドの融資をめぐる最高裁の判決はたいへん画期的な判断だと思う。貸金業規制法四三条の「みなし弁済」の規定は、いままでサラ金業者などが利息制限法で決められていた以上の利息をとれる根拠にされてきた。それだけに、今回の判決が「みなし弁済」の規定をきわめて厳格に適用し、事実上、利息制限法を超える利息を規制するものとなっていることは重要だ。日本共産党は以前から四三条の「みなし弁済」の規定をやめることを要求してきた。「みなし弁済」を廃止する運動をさらに前進させるために、力を尽くしたい。