2004年2月20日(金)「しんぶん赤旗」
社会保障の財源確保のために、軍事費を削れっていうけれど、どういうこと。 |
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自衛隊の存在については、国民のなかにも意見はいろいろあるでしょう。しかし、いくらなんでも、アメリカの戦争に自衛隊を派兵し、日本を「戦争をする国」につくりかえるために国民の血税をつかうことに、国民のみなさんは賛成できるでしょうか。
平和憲法に違反するこんな危険な浪費をやめて、予算を社会保障に回しなさいと要求することは、あまりにも当然なことではないでしょうか。
戦後の日本はまがりなりにも「専守防衛」を掲げ、これまで、海外での戦争に武力をもって参加してきませんでした。戦争状態の続くイラクへの自衛隊の派兵は、この姿勢の大転換です。海外派兵の本格化や「ミサイル防衛」など、米国の先制攻撃戦略に加担する姿に大きく変わろうとしています。そのために血税をつぎ込む。こんなことが許せるでしょうか。
日本の軍事費は、二〇〇四年度予算案で、沖縄の米軍基地を県内たらい回しにするためのSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)関連予算を含めて四兆九千三十億円にのぼります。
政府は、〇四年度予算案の軍事費について「過去最大の削減」と誇りました。たしかに前年度比で1・0%の削減ですが、すでに日本は米国に同盟国としてずば抜けた「貢献度」がほめちぎられるほどの軍事大国です。その中身も問題です。
政府・防衛庁は、新たな「防衛計画の大綱」を策定することを決め、日本を米国の先制攻撃戦略に組み込む「ミサイル防衛」と海外派兵に重点を移そうとしています。
「一層の効率化、合理化」(〇四年度予算案で)のもとでの、「ミサイル防衛」システムや、ヘリコプター搭載護衛艦の導入は、この大転換の中身を先取りしたものです。
さらに、在日米軍駐留経費の日本側負担である「思いやり予算」は二千四百四十一億円も確保しました。
米国が地球的規模でおこなう介入と干渉の戦争に、日本を全面的に参戦させる動きに伴う予算化です。
軍事費削減の世界の流れに逆行して、米国の求めに応じて軍拡をすすめてきたのが、日本です。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所が毎年発表している年次報告書(二〇〇三年度版)によると、〇二年度の軍事費の国際比較では、日本は米国についで第二位の軍事大国となりました。
同報告書によれば、米国のイラク攻撃に追随してきたイギリスでさえ二〇〇二年の軍事費を一九九三年と比較すると13%も削減しています。
たとえば、イギリス並みに軍事費を削減するだけでも、二〇〇二年の日本の軍事費は約九千億円少なくてすむ計算になります。
軍事費を削って暮らしに回せという要求は、世界の軍縮の流れにもそった要求です。