2004年2月18日(水)「しんぶん赤旗」
大分でも高病原性鳥インフルエンザ――。新たな発生で、山口県のH5N1型鳥インフルエンザについて十八日にも安全宣言する予定だった農林水産省に衝撃が走りました。
農水省衛生管理課は十七日、「日本は生きた家禽(かきん)を市場にだす東南アジアや中国南部とは違う。アジアのように拡大することは考えにくい」と説明しました。しかし、高病原性鳥インフルエンザの日本での二例目が山口県の発生と関連が薄い大分県で発生したことは、新たな拡大の危険性を示すものです。
同課によると、大分県内の養鶏業者からの聞き取り調査や、防疫マニュアルによるモニタリングで「これまでに陽性という報告はなかったはず」でした。それだけに、今回の発生は、なお警戒レベルをあげて対応すべき事態にあることを示しています。
今回の発生は、小規模なうちに発見できました。そのため、ウイルスを封じ込めるための手だても早く打つことが可能になります。
高病原鳥インフルエンザはカモなど渡り鳥を経由して日本へ入ってくる可能性があります。今後予想される第三、第四の発生でも、感染を早期につかみ、ウイルスを封じ込めるという教訓を生かしていくことが行政に求められています。
防疫体制を確実にするためには、養鶏業者などへの経済的な補償が決定的に重要です。日本共産党国会議員団は、この問題が発生以来、周辺農家まで含めた緊急助成を政府に強く求めてきました。
農水省畜産振興課によると、山口県では、発生した養鶏場から半径三十キロ圏内の「制限区域」に十七の採卵養鶏場があり、計約百万羽の採卵鶏がいました。養鶏場の約三万五千羽すべてを処分し、三十キロ圏の鶏や卵の移動を制限しました。このために、地域経済が大きなダメージをうけ、山口県などは、この病気が発生した養鶏農家だけでなく周辺農家への補償を決めました。
今回の大分県九重町を中心とした三十キロ圏には湯布院町などの温泉・観光地がはいっています。移動制限は、この地域で地鶏を飼い、温泉街に出荷している農家などに大きな経済的ダメージを与えることが予想されます。それだけに、地域経済への補償が重要になっています。