2004年2月16日(月)「しんぶん赤旗」
「これは地域経済活性化の“特効薬”です」。長引く不況で、仕事の確保に四苦八苦の建設業者にこう喜ばれているのが各地の自治体でとりくまれている住宅リフォーム助成制度です。埼玉県、兵庫県内の自治体にみました。
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「使わなくなった店の部分を車庫と居間に改造し、家族だんらんの部屋ができ喜んでいます。リフォーム助成は本当に良い制度で、多くの人が利用できるといいですね」
川口市の住宅リフォーム助成制度を利用、昨年夏に店舗兼用の自宅を改造した高橋静子さん(70)の実感です。
近所で工事をしていた埼玉土建川口鳩ケ谷支部の組合員、佐藤信勝さん(44)からリフォーム助成制度を知りました。
佐藤さんは同制度を使ったリフォーム工事を二十件近く手がけています。「『リフォームしたいけれど、金がかかるので』と悩んでいる人に、助成制度のことを説明すると『それは助かる。ぜひやってみたい』と話が具体化していきますね」
自宅のリフォーム(改造)を地元の建設業者に発注すると、工事費用の5%、上限で十万円まで助成するのがこの制度です。
佐藤さんは「大手ゼネコンだけにしか仕事ももうけもまわらない大型公共工事と違って、この制度は自治体のわずかな予算で、助成金をうすく、ひろく補助することで私たち町場の中小建設業者にも仕事がまわってくる、本当にありがたい制度ですよ」と絶賛します。
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埼玉県内で住宅リフォーム助成を実施しているのは二十自治体で、行田市など四自治体が来年度実施へ準備中です。
埼玉土建(鈴木稔委員長)によれば今年度の助成数は全県で千二百三十九件、助成総額は八千四百三十六万一千円。工事費総額は十三億八千二百八十七万九千六百五円にのぼり、助成額の十四倍の経済波及効果を生みました。全国有数の実績です。
県内でリフォーム助成制度がスタートしたのは二〇〇〇年。川口市で、埼玉土建川口鳩ケ谷支部と日本共産党市議団の提案がきっかけでした。
一九九九年八月、岡村幸四郎市長に要請しました。岡村市長は「リフォーム助成は少ない予算で大きな経済効果をつくれる優れた制度だ、ぜひ研究したい」と答え、次年度に予算五百万円を計上。
同支部の中山松夫書記長はいいます。「市内の有力建設業者、業界団体にもよびかけ賛同してもらうなど、幅広い提案運動としてとりくみました。今年度の経済波及効果は二十四倍。当初は二年限りでしたが、市も『やめる理由はない』と延長、来年度は百万円の増額が検討されています」
(北関東総局・山本眞直記者)
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兵庫県明石市では、市民が市内の業者を利用して自宅をリフォームすれば、十万円を上限に工事費の一割を助成(所得制限なし)しています。
「補助があるならこの際やろか、とリフォームにふみだせました。助かりました」
こう語るのは、同市の津崎解子さん(59)。津崎さん宅では、同制度を利用して工事をおこない、一階トイレを新しくしたり、二階の六畳間を畳からフローリングに替え、壁紙、天井、押し入れも新しくしました。工事費百数万円で十万円の助成を受けました。夫の強三さん(63)も、「ええ制度ですね。手続きも簡単やし。まだまだ知らん人が多いので、もっと知らせんと」といいます。
同制度を利用した工事をこの三年間で十六件請け負った田中勇人さん(49)=工務店経営=は、「おかげで仕事が入ってきて助かった。こんなご時勢ですから。それに、この『お得な情報』をもって近所を回って営業できるのでありがたい。われわれには追い風の制度です」と歓迎します。
制度が実現した大きな力は、建設労働者、職人らでつくる東播建設労働組合と日本共産党明石市議団のとりくみでした。同労組は九九年十二月に市に制度創設を要望し、波及効果が大きく、不況対策に役立つことを訴えました。党市議団も、調査を重ねて地元業者の仕事起こしになることを検証し、同年十一月の予算要望で提案。市長に強く求めてきました。
こうして二〇〇〇年度に実現。非常に好評で、最初の募集には、定員百に五百人以上が殺到し、定員枠が拡大されました。〇三年度までの四年間で、応募が千七百九十三人、九百七十九人が助成を受けました(〇三年度は予定含む)。助成総額約八千万円にたいし、工事費総額は約十三億円で、十六倍の経済効果となっています。
党市議団はまた、手続きの簡素化や枠の拡充を実現させてきました。
明石市には、他自治体からの視察・問い合わせが殺到。担当課は「問い合わせは数え切れないくらい」といいます。県内では、明石市についで加古川市と福崎町でも実施されています。
田中さんは、「制度を今後も続けてほしい。つくってくれた共産党と組合に感謝したい」といいます。
(兵庫県・喜田光洋記者)