2004年2月11日(水)「しんぶん赤旗」
「消費税はみんなが負担するから公平だ」という宣伝をききますが、本当でしょうか。
そんなことはありません。消費税は、低所得者には負担が重く、高所得者には軽い、弱い者いじめの不公平税制です。消費税を「公平だ」と宣伝する人たちは、この反民主的な性質に口をつぐんでいるのです。
そもそも税金は、負担能力に応じて適切に負担してこそ、民主的で公平なものになります。一部の高所得者がまともな負担をしない消費税は、公平とは絶対いえません。
例えば、月収百万円の高所得者からも、月収十万円の低所得者からも、一律月五万円の税金をとったと仮定すれば、どう思いますか。低所得者は負担能力を超え、最低限の生活費に事欠くことになります。
消費税とは、簡単にいえば、この例のように、負担能力の違いを無視し、ほぼ一律に税金をとってしまう悪税です。このように、低所得者ほど重く過酷になる性質を「逆進性」といいます。
では、なぜ、消費税は「逆進性」があるのでしょうか。その大きな原因は、消費税が、人間が最低限の健康で文化的な生活をしていくうえで、収入の大小を問わず、だれでも一定額以上は支出せざるをえない消費にかける税金だからです。
総務省の『家計調査年報(二〇〇二年分)』のデータで、年収規模別に国民(世帯)を十階層に分け、その平均的な収入に占める消費支出の割合をみたのが図です。その割合は、最低の年収階層(1の階層)が95%であり、最高の年収階層(10の階層)が38%となっています。
低所得者ほど年収のほとんどを消費支出に回さざるをえず、高所得者ほど年収を消費支出以外の貯蓄などに回すゆとりのあることが、一目瞭然(りょうぜん)です。
この消費支出に同一の税率をかけて算出するのが消費税です。だから、低所得者ほど収入に対する税負担割合が大きくなるのです。
一方、「負担能力」に応じた課税という点でいえば、企業にとっても消費税は、「負担能力」を無視した税金です。
消費税は、企業からみると、法人税や所得税(個人事業者の場合)などとともに、利益の一部を使って税務署に納付する義務があるという点で、同様に企業にかける税金です。
ちなみに、企業の「負担能力」は、基本的には「利益」以外に考えられません。法人税や所得税は、この「利益」の大小・有無を基準に課税する税金ですから、一応、理にかなっています。赤字になれば、基本的に税負担がありません。
ところが、消費税は、「売上高」から「仕入れ高」を差し引いた「粗利益(付加価値ともいう)」に、同一の税率をかけて計算します。「粗利益」は、本来は費用である人件費(従業員の給与など)などを含む概念なので、算出される消費税額が「利益」の大小とは関係しなくなり、赤字企業にさえ多額の納税義務を強いる結果になります。
「負担能力」を超えて納税が強制されれば、積み立て利益(内部留保)の少ない中小企業は倒産するか、サラ金などから借金をして納税する事態に追い込まれます。まさに、中小企業いじめの不公平な税金なのです。