2004年2月10日(火)「しんぶん赤旗」
米国での鳥インフルエンザ集団発生の報道を受けて、農水省は、米国産の鶏肉の輸入を一時停止しました。同省の石原葵事務次官は九日の記者会見で、「(インフルエンザの)毒性が弱いことが分かれば(発生地)デラウェア州に限定した輸入停止になる」と述べました。
同省は米当局に今回の発生報道に関する事実関係を確認中。石原次官は週内にも米側から正式な検査結果が通知されるとの見通しを示しました。
農水省などによると、米デラウェア州で鳥インフルエンザの感染を確認したため、養鶏場の約一万二千羽の鶏の処分が命じられました。
検出されたウイルスはH7型といい、アジアで猛威を振るっているH5N1型とは異なりますが、日本でも一九二五年に集団発生したタイプ。今冬に入り、H7型の鳥インフルエンザはパキスタンなどアジアや欧州でも発生しています。
世界保健機関(WHO)や国立感染症研究所感染症情報センターによると、二〇〇三年にオランダの養鶏場で集団発生したH7型の鳥インフルエンザの防疫対策にあたった関係者や家族八十三人が感染してこのうち獣医一人が死亡しました。獣医の死亡では、人同士の感染が疑われています。
米国からの二○○二年度の鳥肉輸入量は約五万トンで、タイ、ブラジル、中国に次ぎ第四位。国内消費量の3%程度に当たります。
すでに輸入がストップしているタイ、中国とあわせると、鶏肉輸入量の約三分の二、国内消費量の二割が輸入できない状況になっています。