2004年2月7日(土)「しんぶん赤旗」
政治資金規正法違反事件で東京地検特捜部の強制捜査を受けた日本歯科医師会(日歯)の政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)が「組織内候補」を国会議員にするため、大手都銀から巨額の借金をして八億円もの自民党費を立て替えるなどした自民党との癒着があらためて問題になっています。日歯連はこの夏の参院選でも、元厚生労働省歯科保健課歯科医師臨床研修専門官の笹井啓史氏の推薦を決めており、批判が高まっています。
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自民党費の立て替え問題や政治献金をめぐっては、各地の歯科医師から批判が相次いで訴訟まで提起されました。
このなかで浮上したのが、一九九八年の参院選を前に、日歯連が大島慶久自民党参院議員を党の名簿上位に載せて当選させるためにおこなった二十万人分の自民党員の党費(八億円)立て替え。
内部資料によると、日歯連は九七年十月の臨時評議員会で、「一人六人分の獲得党員の党費を自民党に支払うための借入金」として、金融機関から八億円もの借金をすることを決定しました。
さらに日歯連は、元日歯会長の中原爽参院議員を推薦した〇一年の参院選に向けても十億円を大手都銀から借り入れ、九八年の借金の返済や組織内候補のポスター代や郵送費、選挙カー費用などに使っていました。
日歯は日歯連とまさに表裏一体で、公益法人である歯科医師会の封筒を使って連盟会員を集めたり、日歯と日歯連の会費が同じ銀行口座に入れていました。日歯連脱会のさいには日歯からの退会が義務づけられているなど、公益法人と政治団体が一体となっていました。岡山県の歯科医師会が会長名で歯科医師連盟の会費を集め、自民党員の党費に充当していたことも。
こうした実態は国会で、日本共産党の小池晃、富樫練三両参院議員らが追及してきました。似たような党費立て替えの実態はKSD事件でも問題になり、自民党は調査のうえ、党員実態のない党費について事実上、一部を返却せざるをえませんでした。しかし、日歯連の場合、自民党はいわゆる「幽霊党員」とみられる党費立て替えの実態も調査しておらず、その責任が問われています。