2004年2月7日(土)「しんぶん赤旗」
消費税増税 |
| 問答 |
四月から価格の表示が「総額表示方式」になるけれど、消費者は支払いやすくなっていいのでは。
小売店のレジで消費税額を知り、お金が足りず冷や汗をかいたという経験はけっこうあります。“最初から消費税分を含んだ「総額」で表示してあれば便利”という気持ちは分かります。でもちょっと待ってください。消費者・国民にとってそう単純に割りきれない重大問題が、この「総額表示方式」には隠されています。
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総額表示は義務化です。ただこれが決まる過程で、“もう一つの義務化”が問題になっていました。消費税額の表示です。政府税調の「あるべき税制の構築に向けた基本方針」(二〇〇二年六月)はこう求めていました。
「消費者の便宜のため、価格の総額表示(含む税額明記)が促進されるよう」
「税額明記」というかっこ内の文言がいつのまにか消えたのです。この点を財務省に聞くと、「税調の中で、消費税がみえなくなるという議論があって、税額明記とされましたが、その後、値札に記入するスペースがあるかという技術的理由で、総額のみの義務化となりました」(主税局)。
「消費税がみえなくなる」。まさにここが問題です。
「消費者がどの程度税を負担しているか知らせるべきだ」「納税意識が薄れる」−。これは小売業界などからでた導入批判の声です。消費者の税負担感=痛税感の喪失を心配したのです。
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痛税感の希薄化は、「将来、消費税を上げざるをえない状況になる」と公言する小泉首相には好都合な話。消費税率をどんどん上げても消費者は“感じない”のですから。これは危険です。
総額表示方式の導入は消費税を国民の目から隠す「増税地ならし作戦」ではないか。その点をまた財務省にきいてみました。答えは−。
「隠すといいますが、もともと消費税は間接税ですから」(同)
間接税と聞いて、代表的な間接税を思い出しました。酒税です。
発泡酒は現在、三百五十ミリg一缶百数十円です。疲れた体と気分を癒やすためぐっと飲み干しますが、そのときだれも「いま自分は四十七円弱の酒税を払った」とは思わないでしょう。消費税を加えれば五十四円近い税の支払いになります。
間接税とはまさに「価格」に隠れ込んだ税金です。消費税もこうなったとき、大増税への危険な道が開くといえます。