2004年2月6日(金)「しんぶん赤旗」
|
日本郵政公社(生田正治総裁)が「効率的な働き方」と称して、全国の郵便局に四月から導入を計画している「トヨタ方式」。そのモデル局で、「効率的」どころか、労働者の負担が増え、違法なサービス残業(ただ働き)が横行している実態が明らかになりました。
郵政公社が郵便事業の「効率化」の決め手として導入しようとしている「トヨタ方式」は、労働者にロボットのようにムダの無い動きを要求し、極限までの過密労働を強いるやり方です。モデル局は埼玉県越谷郵便局で昨年九月から「トヨタ方式」をとりいれました。
「道順組立作業に一時間から一時間半かかり、ずっと立ちっぱなしですごく疲れる」と労働者たち。腰やひざの痛みを訴える労働者が増え、腰痛で入院したり、自宅療養をする労働者もいます。
全逓信労働組合越谷地方本部が一月中旬に実施した職場アンケートで、立ち作業方式になったために作業の疲労度が「増えた」との回答が九割以上にのぼっています。
しかも、「作業効率はかえって悪くなった」という声が大半で、労働時間が激増しています。
残業時間の上限を労使で話し合って決める「三六協定」の残業時間は、通常二カ月で四十−五十時間だったものが、十、十一月期は六十時間、途中に再改定され七十一時間に、十二、一月は八十六時間、再改定で百十三時間に増えました。残業時間が増えると同時に、「サービス残業が増えた」という労働者が相次いでいます。
労働者からの告発を受け、日本共産党の塩川鉄也衆院議員は、一月二十三日に越谷郵便局を現地調査するとともに、三日には、サービス残業問題で日本郵政公社から説明を受けました。
現地調査で、柴沼満局長は「サービス残業はない」と塩川議員に言明。郵政公社側も「仕事が終わってもすぐに帰らなかったり、どこまでが仕事かはっきりしない働き方もあるのではないか」と労働者に問題があるかのようにのべました。
同郵便局は、「トヨタ方式」を採用したことから、どんな作業を行ったかを一分刻みで記入する「作業日報」を労働者から提出させています。
塩川氏は、日報用紙のコピーも示し、「職員には『作業日報は正確に記入するように』と厳しく徹底しているのだから、作業日報を調べれば、サービス残業があるかどうかはすぐにわかるはずだ」と追及。回答に窮した郵政公社側は調査し、結果を報告すると約束せざるをえませんでした。
同郵便局では一月末、「サービス残業があった」との回答が圧倒的だった職場アンケートの結果と、「サービス残業はない」と局長が弁明したことを報じた「しんぶん赤旗」(一月二十五日付)のコピーが全逓地本の組合掲示板に張り出されました。「赤旗」で知った労働者から、「局長はウソをついている」と怒りの告発が塩川議員に相次いで寄せられ、反響を呼んでいます。(原田 浩一朗記者)