2004年2月5日(木)「しんぶん赤旗」
当面はなんとかなっても、将来の社会保障財源を考えると消費税増税しかないんじゃないですか。 |
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国の予算のムダや急がなくてもいい支出を削ることを前提にして、大企業と高額所得者に応分の負担を求めるという立場にたてば、消費税増税に頼らなくても、将来にわたっても社会保障財源を確保できます。
民主主義の発達の中で、勝ち取られてきた経済のルールは、企業も国民も、所得に応じて応分の税負担や社会保障のコストを担うというルールです。応分に負担された税や社会保障のコストは、サービスとして広く還元され、偏った所得が再分配されることにつながります。
その目で日本の現状を見るとどうでしょうか。
日本では、所得などの不平等度をあらわすジニ係数(格差がない完全平等の集団で〇、一人だけが全所得を独占する完全不平等の集団では一)が一九八〇年代以降、増大傾向を示しています。九九年と八一年の比較では、税や社会保障によって所得が再分配された後のジニ係数(厚生労働省調査)でも、〇・三一から〇・三八に増大。貧富の差が拡大しています。
多くの大企業が、労働者のリストラ・人減らしを強め、長期不況のもとでも、二〇〇三年度九月中間決算では、過去最高益を更新しています。
しかし、こうした日本の企業が税と社会保障を負担する割合(国民所得比)は、わずか12・2%(一九九九年度)。イギリス15・0%(一九九九暦年)、ドイツ17・7%、フランス23・7%(同)などと比べて、五割から七割にすぎません。
庶民に増税や社会保障改悪を押しつける一方で、リストラをすすめる大企業を優遇する自民党政治が、消費を冷え込ませ、景気を悪化させてきました。景気が悪化すれば、企業業績が落ち込み、さらにリストラが進み、個人の所得が減ります。そのことが、法人税収や所得税収の落ち込みを招いています。
くらしを応援する政治に切り替えることは、消費拡大を図り、冷え込んだ景気を回復軌道に乗せ、企業収益や個人の所得を増やし、税の負担能力を高めることになります。これと、大企業と高額所得者に税と社会保障の応分の負担を求めることが結びつけば、将来も安定的に社会保障財源を確保できる道が開けます。