2004年2月4日(水)「しんぶん赤旗」
地震などの自然災害で壊れた住宅の再建のために、政府が被災者に現金給付する新しい「居住安定支援制度」は、全国の災害被災者の個人補償を求める粘り強い運動が実った大きな一歩といえます。
「住宅再建に公的支援を」という被災地の切実な声は、阪神・淡路大震災をきっかけに全国に広がりました。昨年七月には全国知事会も、公的支援による住宅再建支援制度の早急な創設を緊急決議し、国に要望しました。
日本共産党は、一九九五年の阪神・淡路大震災直後の国会で、真っ先に個人補償、公的支援を要求するなど、一貫して災害被災者への個人補償の実現へ全力をあげてきました。九五年二月には政府の責任による個人補償と住宅保障を柱にした復興対策を提案、九六年、二〇〇一年には、生活と住宅再建にそれぞれ最高五百万円を支給するという内容の法案大綱を発表し、超党派の議員に共同をよびかけて実現に努力してきました。
国会質問でもたびたびとりあげてきました。昨年七月の参院災害対策特別委員会では、兵庫県選出の大沢たつみ議員が質問し、鴻池祥肇防災担当相が「予算編成に反映できるよう努めたい」と答弁しました。
こうした世論と運動、国会論戦をうけて、内閣府は来年度概算要求のなかで初めて、住宅再建支援制度の創設を打ち出しました。
今回、改正案に盛り込まれた新制度は、「個人の私有財産(住宅)への公費投入はできない」という政府のかたくなな態度から、住宅本体の建築費用への利用は認められていません。被災世帯の所得や世帯主の年齢による支給対象世帯の選別という枠組みは改善されていません。被災者に役立つ制度にするには、こうした壁をうちやぶる必要があります。そのための運動はすでに始まっています。(江刺尚子記者)