2004年2月1日(日)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位委員長が三十日深夜の衆院議員団会議でおこなったあいさつの大要は次の通りです。
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与党はいま、本会議を一方的に開き、単独で、イラクへの自衛隊派兵の承認案件を強行しようとしています。
与党は、今日の夕刻、イラク特別委員会の審議を一方的に打ち切り、強行採決をはかるという暴挙をおこないました。野党側は、特別委員会への差し戻しを要求しましたが、与党側は耳をかさず、単独強行という事態にいたりました。
イラクへの自衛隊派兵という日本の命運をわける重大問題で、政府・与党は、みずから国会に承認をもとめておきながら、わが党が提起した根本問題についてまともな答弁をせず、ウソの答弁をかさね、事実の隠ぺいをおこなったあげく、みずから承認の審議を一方的に打ち切るということをやりました。これは、国会の審議権、機能そのものを乱暴に否定する横暴きわまるやり方であります。
イラクへの自衛隊派兵そのものが歴史的暴挙ですが、それを国会に押し付けるやり方も国会のルールを破壊する暴挙そのものであることにたいして、強く抗議をするものであります。(拍手)
衆議院での審議は、大変短いものでしたが、そのなかでも論戦をつうじて、自衛隊のイラク派兵の根拠はことごとく崩れたと考えます。
第一に、わが党は、イラク戦争と占領支配の「大義」そのものを正面から追及しました。わが党はこの問題を代表質問でとりあげましたが、その翌日には米国調査チームを率いていたケイ氏が、「大量破壊兵器はもともとなかった」という決定的な証言をおこないました。これをただちに穀田議員が取り上げ、首相は戦争開戦時に「大量破壊兵器の保有」を断言していたことを追及すると、首相は「持っているとも、持っていないとも断言できない」と答弁しました。「保有」を断言したことが誤りであったことを、みずから認めざるをえなくなったのであります。首相の立場は破たんし、「大義」は根底から崩れました。
第二に、憲法とのかかわりでは、わが党は、占領支配の一翼を担うこと自体が憲法違反であるという大きな論立てをして、政府を追及しました。この問題については、審議の過程で三つの点が明りょうになったことが重要であります。
−−自衛隊が占領軍の一員の地位をうることが法的に保障されることが、占領当局が日本政府にあてた書簡で明らかになったこと。
−−自衛隊が占領軍の指揮下におかれることが、「しんぶん赤旗」が直接占領軍に問い合わせた回答をつうじて、疑問の余地なくはっきりしたこと。
−−自衛隊のおこなう「安全確保支援活動」などの活動が、実態的にも占領支配の一端を担うものであることが、派兵計画の具体化をつうじて明確になったこと。
わが党は、こうした具体的事実の一つひとつをしめして憲法違反の実態を追及しましたが、それをつうじて自衛隊の派兵の本質が、米英軍主導の占領と占領支配への合流であること、これが「交戦権」や「武力行使」を禁止した憲法と両立しえないことが明りょうになりました。
第三に、政府が自衛隊派兵の前提としていたイラクの状況についての説明が、虚偽と隠ぺいだらけだったということです。
サマワ市の評議会について、首相は、存在しない評議会を「評議会の存在で治安は安定」と答弁し、その答弁を撤回せざるをえなくなりました。前代未聞のことです。
さらに赤嶺議員の質問でしめした政府内部資料で、自衛隊先遣隊の報告なるものが、「派兵先にありき」というシナリオにそくして、自分に都合のよい事実だけをならべたて、都合の悪い事実は隠ぺいしたものであることが、衝撃的な形で明らかにされました。
これらは、政府が説明責任をはたしていないというにとどまらず、政府の説明の信頼性を根底からくつがえすものとして、きわめて重大であります。
こうしてイラク戦争と占領の「大義」が根底から崩れ、占領への加担という憲法蹂躙(じゅうりん)の本質があきらかになり、政府の派兵の根拠も説明の信頼性も崩れました。自衛隊派兵の根拠がことごとく崩れたというのが、衆院での論戦での重要な到達点であります。
大義なき戦争への大義なき派兵−−これがここまで明らかになるなかでの力を頼んでの強行劇というのが、今日おこったことであります。国会でのたたかいでさらに徹底的に追撃するとともに、国民的なたたかいを広げ、無法な派兵を中止においこむために、引き続き全力をつくして奮闘しようではありませんか。(拍手)