2004年1月29日(木)「しんぶん赤旗」
社会保険料をこれ以上引き上げるよりはいいのではないでしょうか。 |
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たしかに、庶民の社会保険料は非常に重く、いまでも大変な状況です。これ以上引き上げられたらたまったものではありません。といって消費税増税ならいいということにはなりません。どちらもたまりません。
たとえば、年金の保険料をみてみましょう。農漁民、自営業者などの国民年金は低所得者も定額の月一万三千三百円の負担で、いまでも保険料が払えず滞納している加入者が四割近くにも達しています。また、サラリーマンを対象にしている厚生年金の場合は、長期不況のなかで、中小、零細業者の経営者にとって保険料(賃金の13・58%、労使で半分ずつ負担)が高い負担になっています。
保険料が高く経済的理由で「払えない」、さらに「年金制度の将来が不安で、あてにできないため」に「払わない」という状況が深刻化しています。
この状況を放置したままで、さらに保険料を引き上げたら制度維持・存続という根幹を揺るがすものになるでしょう。
だからといって、保険料引き上げよりも、消費税増税の方がいいというのは、大企業・財界の論理です。消費税を価格に転嫁できる大企業は消費税を一円も負担しません。そのため、日本経団連は、「二〇〇四年度税制改正に関する提言」で消費税は、「経済成長に対する影響が相対的に少ない」などとして消費税を社会保険の財源にあてるよう提言しているのです。庶民の家計への影響など眼中にありません。
財界の狙いは明白です。消費税増税で大企業の税・社会保険料負担を軽減させることです。これまでも、大企業・財界は、政府・自民党に働きかけ、法人税減税をすすめ税・社会保障の負担を減少させてきました(グラフ)。二ケタへの消費税増税をもとめる日本経団連は、二〇〇三年の「奥田ビジョン」で、「企業の従業員についても、自営業者と同様、保険料を全額本人が負担することが望ましい」、そうすれば、「サラリーマンのコスト意識が高まる」と保険料の企業負担の廃止すら提言しています。従業員や地域・社会にたいする大企業の社会的責任の放棄です。
もともと、消費税は低所得者ほど負担の重い「反福祉的」な税金です。社会保障の財源としては一番ふさわしくない税制です。いま必要なことは、大企業・財界がいうような社会保険料の引き上げと消費税増税をてんびんにかけ、庶民に負担をしわ寄せするやり方ではなく、大企業・高額所得者に応分の負担を求める税制と社会保障制度の抜本的改革を進めることです。