日本共産党

2004年1月26日(月)「しんぶん赤旗」

定期借家制度改悪狙う自民

借り手の都合無視し解約

今国会提出か


 政府や自民党は、契約期間をあらかじめ定めて住宅や店舗などを賃貸借する「定期借家制度」を改悪する借地借家法の「改正」案をいまの通常国会に議員立法として提出しようとしています。

 現在、既存の居住用建物(二百平方メートル以下)の場合、普通の賃貸借契約から定期借家契約への変更を認めていませんが、同制度の普及を名目に認めようというものです。

 これには危険な目的があります。

 現在、貸し手に相当の「正当事由」(理由)がない限り、建て替えなどで借り手に退去を求めることができません。これが、政府の推進する「都市再生」の名による都市再開発の「障害」となっているとして、賃貸借契約期間が終了すれば、借り手の都合を無視して契約を解約できるようにするのがねらいです。

 定期借家制度は、一九九九年十二月に異常な事態のもとで成立しました。もともとこの制度を創設するには、借地借家法の改正が必要でした。ところが法律の名前を「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」に変えて、法制審議会でろくろく審議もせず、ほんらい法務委員会で論議すべきものを建設委員会(当時)で衆参あわせてわずか九時間の審議で可決成立させたのです。

 この背景には法案成立のため、自民党、公明党などに猛烈な陳情合戦を繰り広げた不動産業界の暗躍がありました。

 同制度創設の前後に、自民党の保岡興治衆院議員(法案提出者)、公明党の平田米男衆院議員(建設委員長=当時)などに対し、集会参加と称する陳情が六十七回に及んでいました(「東京不動産政治連盟」第二十七回年次大会議案)。

 さらに自民党、公明党の国会議員約百人に二億円の献金や陣中見舞いをしていたことが、昨年二月二十六日の衆院国土交通委員会で日本共産党の瀬古由起子議員(当時)の追及で明らかになっています。

 同七月八日の衆院法務委員会では、木島日出夫議員(当時)が法案買収疑惑として厳正な捜査を要求し、法務省の樋渡利秋刑事局長は「とりあげるべきものがあれば適正に対処する」と答弁しました。

 今度の「改正」もこうした不動産業界の要望にこたえたものです。

 自民党は昨年七月の定期借家権特別委員会(保岡興治委員長)で法「改正」のプロジェクトチームを発足させ、法務省、国土交通省から説明を受けるとともに、業界団体からの要望を受けるなど作業を進めてきました。 「改正」案はさらに、(1)借り手の転勤などによる中途解約権を無効にし、解約する場合には貸し手が「違約金」をとれるようにする(2)契約時の書面手続きを簡素化する―ことなどが盛り込まれると報じられています(「日経」一月十四日付)。

 これらを見ても、「都市再生」の名による、都市再開発と大型公共事業による土地の流動化を狙う不動産業界の要望にこたえるものであることは明らかです。

 (国会議員団事務局・高瀬康正)


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