2004年1月23日(金)「しんぶん赤旗」
軍拡の財源づくりのためってほんとですか。軍備は縮小の方向ではないのですか。 |
たしかに世界をみれば、全体として軍縮の流れです。そのなかで、米国にほめられるほどの異常な軍拡をしてきたのが日本です。いまや五兆円規模。それを可能にしたのは消費税です。新たな軍拡財源として狙われているのも消費税です。
「日本の軍事支出は絶対額で第二位」「すべての(同盟)国の年間軍事支出は全体で20%弱も減ったのに比べ、日本は20%も増えた」
こうほめちぎったのは、米国防省が二〇〇二年六月に発表した「共同防衛に対する同盟国の貢献度報告」です。一九九〇年から二〇〇一年までの同盟国の軍事費の推移をみると、米国とその同盟国二十五カ国の軍事費の合計は十一年間で19・2%減っているのに、日本は20・3%も増やしています。順位も第五位から米国に次ぐ第二位になりました。日本の“貢献度”は抜群です。
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大企業への大盤振る舞いの減税をしながら、こんな大軍拡を可能にしたのも、消費税があったからです。5%に引き上げられた消費税の国と地方をあわせた税収はいまや十二兆円から十二兆五千億円規模。消費税1%で二兆五千億円程度ですから、軍事費約五兆円は消費税2%分となります。
消費税を導入(一九八九年四月実施)した時も、自民党政権からは、軍拡財源をつくることも、消費税導入の動機になっているとの本音がもれていました。
当時の渡辺美智雄自民党政調会長(自民党税制改革推進本部長)は外国人記者クラブで「昭和六十五年(一九九〇年)までは年々5・4%ずつ実質的に防衛費を伸ばすというお約束が(米政権と)ある。そうするとますます財源がなくなる」とのべていました。
消費税など、消費一般に課税する大型間接税は、もともと戦費調達のために生まれました。
世界で最初に大型間接税を取り入れたのはドイツです。一九一六年の「商品取引印紙税」がそれです。一八年には「取引高税」を導入します。大型間接税は第一次世界大戦の財源づくりとして生まれた“戦争の申し子”でした。
いま、新たな軍拡の圧力が強まっています。
米国と財界にハッパをかけられ、自民党や民主党が競い合う改憲論の目的は、憲法九条を改定して、自衛隊を正式に「国軍」(小泉首相)と認め、米国の海外での戦争に、自衛隊が公然たる武力行使をもって参加する「戦争をする国」につくりかえることです。
すでに、昨年末、米国の先制攻撃戦略に加担する「弾道ミサイル防衛システム」の整備とともに、〇四年末までに海外派兵を本務とするよう自衛隊の態勢・装備を大転換する新「防衛計画大綱」と新「中期防衛力整備計画」を策定することを決定しました。
「ミサイル防衛システム」の整備について防衛庁は、当面の配備を終える二〇一一年度までの八年間にかかる費用は、八千億円から一兆円に及ぶと見込んでいます。ただ、米国のランド研究所は、日本の「ミサイル防衛システム」整備について、約六兆円(研究開発だけで三兆六千億円)の経費がかかると試算。米日の軍事産業が群がろうとしています。
財政が破たんしているというのに、大企業負担は軽くし、無駄な公共事業を温存し、軍事費を“聖域”扱い――その財源は消費税増税に求めるところに、増税派の本音があります。