2004年1月22日(木)「しんぶん赤旗」
財界が消費税増税を求めているのは社会保障費の財源を確保するためではないんですか。 |
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いえいえ、大企業の負担を軽減するためなんです。
たしかに日本経団連(会長・奥田碩トヨタ自動車会長)は、どの政党に政治献金するのかの政党「通信簿」の評価項目でも、消費税率の引き上げを「将来不安を払拭(ふっしょく)するための社会保障改革」のなかに位置付けています。
しかし、これは庶民の「不安」を取り除こうとしているのではありません。大企業が国際的な競争のなかでもうけが減る「不安」を取り除き、もっと大もうけしようとしているにすぎません。
政党「通信簿」の評価項目でも、消費税率の引き上げは、大企業減税(法人課税減税)や「租税負担と社会保障負担を合わせた企業の公的負担を抑制する」こととセットでかかげられています。
大企業負担を減らすために、消費税率を遅くとも二〇〇七年度までに10%、二五年度までに18%に引き上げるというのが日本経団連の狙いです。
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これまでも、財界は大企業減税と消費税増税をセットで要求してきました。もともと、大型間接税=消費税の導入(一九八九年四月実施)を財界は大企業減税の財源として要求しました。政府税調の公聴会で、当時の経団連代表は「(法人税の)減税財源」として「課税ベースの広い間接税(大型間接税)を導入すべきだ」と主張(八六年八月)していました。
消費税導入後の経過をみても、消費税で庶民から吸い上げられた税金は、大企業のための減税に消えてしまった計算になります(図)。消費税が社会保障のためなどといういい分は成り立ちません。
財界・大企業は、もっと大企業減税をしろという要求に加え、社会保険料の大企業負担を軽くしろ、なくしてしまえと声だかに叫び出しました。
日本経団連が昨年九月に発表した提言では、財界の働きかけで、会員企業の法人三税(法人税、法人住民税、法人事業税)の税引き前利益に占める割合は約六割(一九九五年度)の水準から、40%台後半(二〇〇二年度)まで低下したものの、「この効果を相殺(そうさい)」しているのが社会保険料負担の増加などだと不満を表明。日本経団連が昨年一月に発表した「活力と魅力溢れる日本をめざして」(「奥田ビジョン」)では、一部を除いて労使折半となっている社会保険料に関して、「企業の従業員についても、自営業者と同様、保険料を全額本人が負担する方法に改めることが考えられる」とまでいっています。
保険料でも企業負担を軽減、できればなくしてしまえ、その財源は消費税を増税すればいいではないか――これが財界の本音です。なんとも無責任で身勝手な要求です。