2004年1月21日(水)「しんぶん赤旗」
第百五十九通常国会には、有事関連法案のほかにも国民のくらしや経済、平和を脅かすさまざまな法案の提出がもくろまれています。
イラク特措法にもとづく自衛隊派兵の承認案は、今国会最大の焦点の一つです。
自衛隊が「人道復興支援活動」と「安全確保支援活動」をイラクおよびその周辺諸国でおこなうことについて、国会の承認を求めるものです。
国民投票法案は、憲法改定に道を開くものです。憲法第九六条は、憲法の改定には「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で」国会が発議し、「国民投票」で過半数の賛成が必要と定めています。
自民党が改憲を運動方針で打ち出し、民主党も二〇〇六年までに憲法改定案をまとめる方針を決めるもとで、改憲勢力が議員立法として提案することを狙っています。
二〇〇四年度予算案は今後三年間で新たに三兆円の負担増を国民に押し付けるというもの。それを具体化する予算関連法案として、次のようなものがあります。
所得税法等「改正」案では、公的年金控除の縮減、老年者控除の廃止が盛り込まれています。
国民年金法「改正」案は、基礎年金部分への国庫負担割合を〇四年度から段階的に二分の一に移行し、保険料負担を引き上げる一方で給付水準を切り下げるというものです。
地方行財政の「三位一体改革」の補助金削減の一環として、義務教育費国庫負担法「改正」案で義務教育費国庫負担金を縮減することや児童福祉法等「改正」案で児童手当を削減することを狙っています。
さらに公的資金注入法案は、自己資本比率を達成していても、経営不振に陥った銀行が申請すれば、公的資金注入による資本増強ができる新制度を創設するものです。
一方、児童手当改正案は、同手当の支給対象年齢を現行の小学校入学前から小学校三年生まで引き上げるものです。
小泉「改革」路線にかかわる諸問題の関連法案も相次いで出されます。
道路公団民営化では、四公団の債務と道路資産を引き継ぐ「日本高速道路保有機構」を設立する法案や、四公団を六社に分割する高速道路株式会社法案など四法案を提出。巨額債務は国民に押しつける一方、ムダな高速道路の建設を続けるものです。
地方にたいする国の財政支出を削減し、住民サービス後退をもたらしかねない「三位一体」改革関連として、各種補助金削減とともに所得譲与税法案などが出されます。
国庫負担補助負担金を削減する代わりに、わずかばかりの税源移譲をおこなうものです。
住民生活を守るために欠かせない規制を地域限定で緩和する構造改革特別区域法「改正」案も出され、株式会社の医療分野への参入などが盛りこまれます。
このほか、市町村合併について、〇五年三月末で期限切れになる特例法に代わる法案が提出の予定。司法制度改革関連法案では、国民が裁判員として裁判官とともに評決に携わる制度を設けるための裁判員法案があります。
条約では、昨年十二月に日本が参加した東南アジア友好協力条約(TAC)の批准があります。
国民保護法案
米軍支援法案
交通・通信法案
国際人道法の重大な違反行為の処罰法案
有事船舶臨検法案
有事捕虜取扱法案
自衛隊法「改正」案
有事ACSA(条約)
イラク派兵イラク自衛隊派兵承認案
憲法国民投票法案
くらし所得税法等「改正」案
国民年金法「改正」案
義務教育費国庫負担法「改正」案
児童福祉法等「改正」案
公的資金注入法案
児童手当改正案
育児介護休業法等「改正」案
金融機能強化特別措置法案など新たな公的資金注入法案
「構造改革」関連高速道路株式会社法案など四法案
構造改革特別区域法「改正」案
所得譲与税法案、地方交付税法「改正」案など「三位一体改革」関連法案
その他市町村合併推進法案
裁判員法案
労働審判法案
民事訴訟費用敗訴者負担法案
条約東南アジア友好協力条約